商品詳細2020年12月23日に死去した昭和歌謡の巨星、直木賞作家であり孤高の「平和の語り部」であったなかにし礼、最後のメッセージ!
食道がんとの闘いの中で続けていたサンデー毎日連載「夢よりもなお狂おしく」(~2020年3月)単行本未収録分に加え、美輪明宏、黒柳徹子、北島三郎、石川さゆり、市川海老蔵、坂東玉三郎、千住真理子、ジェジュン、保阪正康、村松友視、青木理、松尾潔ら、多数の芸能者による珠玉の「なかにし論」を収録。時代を代表する著者最後の著作であるとともに、最速最強の追悼本。
I章 新しい時代の人々へ
新しい時代の人々へ―平和を愛する友たちと歌う鎮魂歌と賛歌
1 戦争という邪悪
2 失われし人たちへの鎮魂歌
3 新しい時代の人々への賛歌
II章 芸能の神秘的な力
黒柳徹子主演『ライオンのあとで』の情熱
勘三郎追善―平成中村座公演
ドイツ音楽への憧れ――ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の独自性
新・北斎展―画狂老人卍の超絶生涯
オペラ『静と義経』再演
ショスタコーヴィチ交響曲第五番誕生前後
イチロー引退記者会見―アスリートを突き抜けた芸術家
渡辺謙凱旋公演―ミュージカル『王様と私』の叡智
映画『エイリアン』の造形デザイナー、H・R・ギーガーの迷宮世界
映像の魔術師フェデリコ・フェリーニ
西洋と和の調和と合体―TMIガラコンサートの熱度
『バスキア展』を観る―才能は時代の壁を突き抜ける
III章 抵抗のための光芒
時の移ろいの中で
敗戦国の皇太子 平成の天皇の抵抗
マルクスとエンゲルス―若き革命家の肖像
「影の総理」と呼ばれた男、野中広務の信念
辺見庸『1★9★3★7』、堀田善衞、そして村上春樹「猫を棄てる―」
グレタは人類を死滅から救う天使か
団地はこの国の未来である―安田浩一『団地と移民』の志
IV章 わが文学遍歴
夏目漱石「高等遊民」への憧憬
平凡さという感動―漱石『思い出す事など』再読
漱石との決別―『満韓ところどころ』への絶望
小林秀雄転向の書「Xへの手紙」
闇より深い夜の奧へ―『夜の歌』の文庫版刊行にあたって
V章 愛する歌い手たちへ
平成最後の紅白を飾る北島三郎『まつり』
タンゴの革命家―ピアソラ『リベルタンゴ』の飛翔力
戦後最大のカリスマ矢沢永吉に『いつか、その日が来る日まで』を書く
「最高塔の歌」と神の降臨! ―矢沢永吉コンサートの衝撃
ジェジュンの美しい挑戦―今この時に、日本の歌のカバー!
ヨーヨー・マとジェジュン―二人のアジア人芸術家の愛と愛
VI章 愛は魂の奇蹟的行為である
愛は魂の奇蹟的行為である
I うしろめたさの沼
II 失われし人たちへの鎮魂歌
III 即位礼正殿の儀
IV 愛しかない時
VII章 わが魂の音楽
マイ・ラスト・ミュージック―五嶋みどり「シャコンヌ」
マイ・ソウル・ミュージック―長唄『勧進帳』
大地の子の音楽的めざめ―ベートーヴェン『田園』と満洲の風景
戦後日本音楽の頂点―團伊玖磨・芥川也寸志・黛敏郎「3人の会」の先駆性
マイ・ラスト・ソング―「帆のない小舟」
VIII章 赤い風船と白い男
赤い風船と白い男
IX章 紙上お別れ会
西麻布と八人の女たち―なかにし礼 略伝
伊藤彰彦
著者情報なかにし礼[ナカニシレイ]
1938年中国黒龍江省(旧満洲)牡丹江市生まれ。立教大学文学部仏文科卒業。在学中よりシャンソンの訳詩を手がけ、その後、作詩家として活躍。日本レコード大賞、日本作詩大賞ほか多くの音楽賞を受賞する。2000年『長崎ぶらぶら節』で直木賞受賞。2012年3月、食道がんであることを発表。先進医療の陽子線治療を選択し、がんを克服して仕事復帰。2015年3月、がんの再発を明かして治療を開始。10月、完全奏功の診断を受けたことを公表した。『サンデー毎日』連載小説・エッセイなど重要な「晩年の仕事」を生み出した後、2020年12月、心筋梗塞のため死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)