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『陸奥宗光とその時代』『小村寿太郎とその時代』に続く、岡崎久彦氏の連作評伝「外交官とその時代シリーズ」の第3弾である。読者にとって幣原喜重郎は、日本国憲法改正草案要綱を発表するなど、戦後混乱期の幣原内閣首班としての印象のほうが強いかもしれない。しかし、その政治家としての活躍で特筆されるのは、外交官試験に合格した者として、初めて加藤内閣の外務大臣に就任し、英米協調・対中国内政不干渉を基調とした、いわゆる「幣原外交」を貫いた点にあるといってよいだろう。ところが「幣原外交」は、その基調路線ゆえ、陸軍・財界・政友会などから「軟弱外交」との非難を浴びた。しかし、幣原同様、外交官を務めた著者は、そもそも非自主的、非協調的な外交など存在しないと、デモクラシーの理想を信じた幣原の信念に賛辞を贈る。歴史の評価は数十年経てようやく冷静に評価できる。そんな真理について考えさせられる、著者渾身の長編評伝である。
著者情報
岡崎久彦[オカザキヒサヒコ]
1930年大連生まれ。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格し外務省に入省。1955年ケンブリッジ大学経済学部学士及び修士。在米日本大使館、在大韓民国大使館などを経て、1984年初代情報調査局長に就任する。その後も駐サウジアラビア大使、駐イエメン大使を務め、1988年より駐タイ大使。1992年退官。現在は岡崎研究所所長。著書に『隣の国で考えたこと』(中央公論社、日本エッセイストクラブ賞)、『国家と情報』(文芸春秋、サントリー学芸賞)など多数
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