内容説明
恋も、涙も、事件の答えも――。ぜんぶ”音楽”が教えてくれた。
東大卒、現役アイドルプロデューサー兼作詞作曲家。
異色の経歴を持つ著者がおくる、衝撃のデビュー作。
二人の別の人間が、偶然全く同じ音楽を作ることがあるのだろうか? 音楽プロデューサーの渋谷かえでが、ある仕事の相談のために大学の恩師を尋ねると、逆に奇妙な相談をされてしまった。今、日本で屈指の実力を誇る音楽家「蜂谷輪廻」。彼の新曲『恋の作法』が、教授が子供の頃に作った曲と瓜二つだというのだ。教授の知人として紹介された天才作詞家・猫宮と共に、盗作疑惑の真偽を調べることに。教授の勘違いだろうと思っていたかえでだったが、次第に蜂谷の盗作である根拠が明らかになっていく――。アイドルの失踪騒動 、デビューの意思を持たない天才ストリートシンガー……。音楽を愛する全ての人におくる、音楽業界連作ミステリ―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめか*
39
作者のことは全く知らずにタイトルが面白そうと思って読んだものの、刺さらなくて読むうちに飽きてしまった…音楽業界のことを知りたい人には舞台裏のいろんなことが知れて良さそう。レーベルと事務所は別。CDを売り上げないとレコード会社が儲からない。そのために特典をつけるなど付加価値をつけてCDを売る。音楽性の違いによって解散するバンド。ゴーストライターの存在。分かってはいても、改めて音楽関係者の立場で追体験するように業界のことを知れる。子供の頃作曲した曲と同じ曲が、大人になって他の人に歌われるのありそうだな。2024/08/17
rosetta
33
★★★✭☆不勉強で知らなかったのですが「ふぇのたす」という音楽グループをやってらした方の小説デビュー作。東大の数学科から哲学科を卒業したという経歴は自分の趣味とも合致して随分期待させる。内容も期待に違わぬ面白さ。レコード会社に勤める主人公の渋谷が持ち込む謎を作詞家猫宮が解決する五篇。子供の頃に作った曲を盗作された?ゴーストライターのゴーストライター?デビュー前の5人組アイドルから1人が行方不明?…謎もその解決も動機もキャラも、そして文章や描写表現の癖も自分好みで満足した。次回作にも期待してしまう2024/04/22
山田太郎
19
無敵状態だったフィロのスの作詞してた人で、東大出て作詞家というかミュージシャンでかっこいいよなと。ラノベっぽいかと思ったらそうでもなく、おじいちゃんでも楽しく読めましたというか次も読みたいと思いました。メジャーに行ったフィロのスは、宮野ヤマモト切ったのは間違いと思うけど、このコンビでメジャーにいって欲しかったけどな。年末ベスト4入ってこないかな、無理かな。2024/05/02
とも
10
音楽レーベル社員かえで&作詞家猫宮コンビの軽いミステリー。音楽業界のお仕事もの的短編5篇が収録されている。プロットが少々強引な話しが多いような。個人的には「恋の作法」がよかった。2024/03/23
練りようかん
9
レコード会社に勤める主人公。訳詞に海外アーティストのOKが出ず社内で難航案件化する扱いや、有能ではない50代後半以降の社員が集められた部署など、本タイトルの“まわる”が会社組織図に思えたのが面白い。昔聴いていた曲は今こそ世に問える主張が込められていたと気づく段で、懐かしのアイドル曲を掘り下げて聴いたら発見があるかもと新たな楽しみを見出せた。連作で最も没入したのは「ユーレイゴースト」。盗作疑惑曲に関わる人の反応と心理は冷やかとヒヤヒヤで、真相のアイデンティティと独自性の結晶に納得、裏の裏側が良かった。2025/01/03