内容説明
アジアを学ぶとき日本人として必ず整理しておかなければないテーマ……。
日本人はいつごろから、どのようなかたちで、東南アジアに進出していったのか? アジア太平洋戦争の時代、日本軍は東南アジアで何をしたのか? 日本が戦争遂行の大義として掲げた「大東亜共栄圏」とは何だったのか? その大義は果たされたのか? 東南アジアの人たちはどのように受け止めたのか? その記憶は、東南アジアでは、どのように受け継がれているのか? 日本では?
大量の文献と先行研究の分析を基に、包括的かつ客観的にまとめた「アジアの基礎知識」第6巻です。
目次
第1部 戦前期日本は東南アジアとどう関わったのか
1 二〇世紀転換期の日本と東南アジア
国際関係の中のアジア
日本・東南アジア相互認識の形成
初期日本人社会の相貌
1 「からゆきさん」再論
2 東南アジア関心の高まり
3 在留富邦人の二重構造 「中継地域」と東南アジア
1 小笠原諸島領有と南洋群島
2 台湾=「図南の飛石」
東南アジアから見た日本
1 日本人社会へのまなざし
2 日露戦争のインパクト
2 一九三〇年代の日本の「南進」と国際環境
第一次世界大戦後の国際秩序と日本
東南アジアへの経済進出
1 貿易摩擦と対日警戒感
2 漁業問題の発生・展開・帰結
東南アジアの華僑ナショナリズムと日中関係
「一九三六年危機」論をめぐって
1 国際連盟脱退から「無条約時代」へ
2 「非常時日本」と太平洋世界
3 「躍進台湾」と南進論
「国策ノ基準」と「南進」政策
1 海軍と「国策ノ基準」
2 新南群島の台湾編入
3 豪亜地中海・ポルトガル領ティモール問題
アジア主義者の東南アジア関心
1 大亜細亜協会と南方問題
2 『大亜細亜主義』に見る在日東南アジア民族主義者の発言
東南アジアのナショナリズムと日本
1 日本の東南アジア観の引照枠
2 一九三〇年代東南アジア民族主義者の日本観
(1)インドネシア民族主義者と日本
■?・ハッタの訪日記録
■スバルジョの滞日一年
■スカルノの「太平洋戦争」予見論
(2)フィリピン――M・ケソン大統領訪日と日比米関係
(3)ビルマ――ウー・ソオ著『日本案内』
第2部 東南アジアにとって「大東亜共栄圏」とは何であったのか
3 東亜新秩序論から開戦へ
日中関係と台湾
政策決定過程における「南進」問題
1 陸軍の南方関心
2 日蘭会商と仏印進駐
東南アジア占領構想の基本方針
1 「重圧」受忍論
2 海軍省調査課作成の「大東亜共栄圏論」
「大東亜戦争」開戦と戦争目的
4 東南アジアと「大東亜戦争」
基本的諸問題の鳥瞰
1 帰属問題
2 資源問題
3 インフレ問題
4 抗日抵抗運動の諸類型
統治形態別に見た各地域の状況
1 同盟国タイ
(1)強いられた同盟関係
(2)バーンポーン事件と泰緬鉄道
(3)ピブーン首相と大東亜会議
(4)戦局悪化とプリーディー派政権の登場
2 二重支配地域――仏印三国とポルトガル領ティモール
(1)ベトナム
■日本軍の南部仏印進駐
■ベトナム復国同盟会とクオン・デ候
■開戦後の仏印
■仏印処理とベトナム民族主義運動
(2)ラオス
■日仏二重氏支配期のラオス
■仏印武力処理後の地方都市
■プーミー・ヴォンヴィチット回想録
(3)カンボジア
■日仏二重支配期と「傘のデモ」
■仏印武力処理とカンボジア
(4)ポルトガル領ティモール
■日本のポルトガル領ティモール関心
■横浜=ディリ航空路開設と総領事館設置
■日本軍支配とティモール人
3 軍政施行地域
(1)ビルマ
■東条首相議会演説と対ビルマ方針
■バ・モオ首相と対日協力
■抗日蜂起へ
(2)フィリピン
■開戦前後のケソン大統領メッセージ
■日本軍のフィリピン認識と「独立問題」
■「独立」後の日比関係と大東亜会議
■激化する抗日ゲリラ活動
(3)マラヤ・シンガポール
■「帝国領土」への編入対象
■マレー人社会の指導層
■華僑ナショナリズムと日本
■抗日運動
(4)インドネシア
■政治・軍事面
■社会・経済面
■文化面
■「独立問題」をめぐって
第3部 「大東亜共栄圏」をめぐる み合わない歴史認識
5 東南アジア諸国の対日歴史認識の比較
東南アジアの日本占領期認識の比較
1 歴史教科書の比校
2 二人の「建国の父」の日本軍政観
(1)インドネシア・スカルノ大統領の独立記念日演説から
(2)シンガポール・リー・クアンユー首相回顧録から
3 世論に見る東南アジアの日本観
日本の東南アジア占領認識
1 一九九三年細川首相発言と「歴史認識問題」
2 教科書記述に見る東南アジア占領
6 「殺身成仁」史観を超えて――真の「未来志向」の関係とは
あとがき
関連略年表
主要参考文献
索引
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