内容説明
1冊の本と、10年前の謎――この世界が愛おしくなる、瑞々しい青春小説!
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、なぜいま野亜高校の図書室に戻ってきたのか。体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す。未来はまだ見えなくても歩みを進める高校生たちと、それぞれの人生を歩んできた卒業生たち――海の見わたせる「はこぶね」のような図書室がつなぐ〈本と人〉の物語。
~~県立野亜高校図書室名物~~
1 オリジナル検索機「本ソムリエ」
2 司書の伊吹さん
3 海が見わたせる窓
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装画:カシワイ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
411
”本のソムリエ”という蔵書検索に、心がギュッと持っていかれた。高校の図書室が舞台。3つの質問に答えると、蔵書3万冊の中から、「あなたにピッタリ」の本を選んでくれるという。本当にこんな検索機能があったら良いな。物語は、10年前の生徒の事故死をめぐったミステリー仕立てで、あっという間に図書室の1週間に引き込まれていった。巻末の学校図書委員の「今月のおすすめ本」の趣向も大いに興味をひかれた。2023/08/19
fwhd8325
216
まさに青春。シリアスな場面はあるものの、眩しく清々しい世界です。舞台が図書館、そして数々の作品が紹介される。残念ながら紹介されている作品で読んでいるとすれば「あすなろ物語」だろうか。学校の図書室は独特の空気感があることを久しぶりに思い出しました。2022/11/03
美紀ちゃん
199
10年前に貸し出された本が戻ってきたという謎! 「飛ぶ教室」は、クリスマスのコーナーを作る時に毎年探す本。 挟まっていたメモ。謎解き。わくわくする。 ケガは本当にかわいそう。エースなのに。 1週間のピンチヒッター図書委員。 青春を感じる、濃い1週間。 窓から海が見えるのはいいなぁと思った。 体育祭、燃え尽き症候群(笑)わかる。 ラストの本紹介は親切。2022/06/05
たか
175
軍の基地に隣接する県立野亜高校、艦船が浮かぶ軍港を見晴らす北校舎4階の図書室で10年前の未返却本「飛ぶ教室」が戻るがそこに謎のメッセージが挟まれていた。体育祭を1週間後に控え名物の伝統種目「土ダン」の準備に忙しい校内、怪我で楽しみにしていた高校最後の体育祭に出られない元女バレで図書当番代打の百瀬花音と図書委員の俵朔太郎が10年前の謎に触れ「方舟」が動き出す。 魅力的な登場人物、見事な伏線と回収、謎に包まれた過去と現在がリンクする。 たった1週間の謎解きと青春を描く切なくも爽やかな物語。 ★★★✩✩ 3.02022/07/06
J D
130
物語の途中まであまり入ってこなくて、読んだ内容がスルスルと溢れる感じだった。「木曜のハンバーガー」から集中して読めた。謎解きと青春が中途半端に混じるように思えたが、最後は、青春の力でまとめ上げていた。体実とのやりとりで「立場の数だけ正義があり、正解はいつだって遠い」どの思いにやけに納得した。2022/06/09