チェレンコフの眠り

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チェレンコフの眠り

  • 著者名:一條次郎【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 新潮社(2022/02発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784103398738

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内容説明

猫のまたぐらよりも暑い夏の日の午後、ヒョウアザラシのヒョーの飼い主、マフィアのチェレンコフが銃殺された。のこされたヒョーは、荒廃した外の世界にはじめて繰り出す。汚染された土地、プラスチックの雨、奇妙な人々、破壊された次の地球、そして海底の町――。唯一無二の奇才が放つ、不条理で不可思議、ユーモアと悲哀に満ちた書下ろし長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うののささら

79
前作同様シュールな世界。マフィアのボスチェレンコフに飼われたアザラシのヒョー。生命プラザという涙御殿で不自由のない満ち足りた暮らしをするが、ボスの死により漂流生活が始まる。外の世界は中国からの大量のプラスチックをうめる赤い海に浮かぶ血をかぶったような月。マスゴミは悪く見えるのは錯覚と嘘しか言わないが、住んでる人もあやしい滅びゆく世界。正気では生きていけない世界は無意識が夜をはみ出し飛んでいく。感想はシュールでした。2022/04/05

ぼっちゃん

45
【第35回山本周五郎賞候補作】ボスが殺され、ひとりとなったアザラシのショーが居場所を求めて漂流する物語。汚染された土地、プラスチックの雨など社会風刺した物語なのか、奇妙過ぎて世界観が分からなかった。【図書館本】2022/04/23

蘭奢待

38
これはすごい。おふざけの混じったディストピアを描いているが、寓話の形をとり、強烈な皮肉と、真理をついた気の利いたセリフが随所に現れ、唸らせられた。マイクロプラスティックでの海洋汚染、地球温暖化、放射性物質による環境汚染。美徳とされている「労働」と、「生産」「開発」による経済活動の問題を寓話にくるんで糾弾している。海鮮レストランで出される料理、ビールにウオッカ。その店長の名前笑ってしまう。 この素晴らしい小説は世界に問うて欲しい。2023/10/15

うさみみ

27
これこれ。この適度な脈絡のなさ。不可思議な詳細さ。泥酔した時に見た悪夢のようと書いていた人がいた気がする。幻想と現実がまじりあい、伝えたいことがあるのかないかも判然としない。理にかなった話とかスッキリ解決とか、わかりやすい収穫を期待して読むとなんだこれと感じると思う。でもなあ、不思議と癖になる味なんだよな。論理合理を重視した、筋の通った話ばかり読む自分にうんざりしてる自分もいるのかもしれない。マフィアの飼い主を失ったアザラシが旅をする話。環境破壊への言及もあり少し暗いが、今作もとぼけたユーモラスさが快い。2022/09/29

rosetta

23
★★★✮☆サハリンマフィアのシベリアーリョ・ヘヘヘノヴィッチ・チェレンコフは冒頭でいきなり警官隊に射殺されてしまう。可愛がっていたヒョーは人語を話し尾鰭で立って歩く金槌のアザラシ。物語はヒョーが汚染されて廃墟になった街で辿る冒険譚。オウムガイや三葉虫を食わせる海鮮食堂でこき使われたり、歌手にされそうになったり地下をさ迷ったり。誰かがこの作家の前の本をダリの絵のようと言っていたのが腑に落ちる。輪郭がハッキリしていて部分毎の描写にはリアリティがあるが全体としては非現実感しか残らない。でも好きなら癖になる2022/03/02

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