ガラスの顔

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ガラスの顔

  • ISBN:9784488011109

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内容説明

地下都市カヴェルナの人々は表情をもたない。彼らは《面(おも)》と呼ばれるつくられた表情を教わり大人になるのだ。そんなカヴェルナに住むチーズつくりの親方に拾われた幼子はネヴァフェルと名づけられ、一瞬たりともじっとしていられない好奇心のかたまりのような少女に育つ。どうしても外の世界を見たくて、ある日親方のもとを抜けだしたネヴァフェルは、カヴェルナ全体を揺るがす陰謀のただ中に放りこまれ……。名著『嘘の木』の著者が描く健気な少女の冒険ファンタジー。カーネギー賞候補作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アン

115
「面」と呼ばれる表情を身につけて暮らす地下都市カヴェルナ。チーズ職人に拾われた幼子は、やがて好奇心旺盛な少女に育ちトンネルを抜け出し外の世界へと。面細工師、ワイン商一家、独裁者、大泥棒。彼女は宮廷の悪意に満ちた陰謀に巻き込まれていき不気味で謎めく展開にハラハラと。特別な存在の少女に埋もれている記憶の秘密とは…。危険に陥りつつ知恵や勇気を発揮し、過酷な運命に立ち向かうひたむきな姿を応援したくなる異世界冒険ファンタジー。裏切りや葛藤、信念と友情。暗闇の先に広がる宝石のような輝きと温かな涙の雫に胸がいっぱい。 2022/02/19

榊原 香織

79
ファンタジックすぎて状況が想像しずらかった。 地下世界での暮らし。 爆発するチーズ、生きているワイン、水晶の柱 臭覚的には想像しやすかったが(チーズの匂い凄そう) 不思議の国のアリスちょい入ってるかな?2022/10/10

ずっきん

76
ファンタジーは苦手なのだが、杉江松恋氏の書評を信じて。今はエピローグの爽快な余韻が胸を満たしている。伸びやかでわかりやすい筆致。巧みなミステリの仕掛けと踊りまくる活きのいい登場人物たち。アイディアとそのディテールの細やかさが世界を構築していく。暗く、だが鮮やかな虚構が徐々に姿を現し、飲み込まれていく。ああ、小説は騙されてなんぼだなあ。後半はページ捲る手が止まらなかった。現代社会のメタファーとか問題提起とかいろいろあるけど、まずは面白いこと、これが大事だ。青臭い子供から汚れた大人まで、楽しめる事請け合い。2021/12/18

キムチ27

72
前3作は史的ファンタジー・・一転し今回は異空間~地下世界カヴェルナ。そこへ入り込みチーズ作り親方の元で育てられたネヴァフェル。地下世界は地上で住めなくなった人々が≪面≫をつけて生きる表情のない世界。面の下に隠された陰謀だらけのダークな現実社会の闇が見えてくるにつれ 少女は心身共に成長して行く。ラストで供された「その世界」は明るく 煌めくとは言えぬまでも 彼女なりの解釈で受け止める覚悟が出来、喜びが生まれ ネヴァフェルの「個」とでも呼びたい様なそれ。中盤まで、この空間に乗り切れず、難儀したが 好奇心に満ち 2022/05/20

星落秋風五丈原

60
前作『カッコーの歌』に続きまたもや表紙には鳥が登場。いや、ヒロインが鳥かごの中の鳥のようだ。どれどれ、一緒に籠に入っているのは?チーズに、ワインに、蛇に、お面?逃げるかもしれない鳥や蛇ならともかくなぜ生き物でないものが籠の中に?実は表紙に登場する全てのものは物語を構成する重要なアイテム。舞台は地下都市カヴェルナ。ここの人々は表情を持たず《面》と呼ばれる作られた表情を教わる。ネヴァフェルは考えた事が全て顔に出ても怖くない。カヴェルナの人々は本心を隠すために面を被る。彼女とこの世界の人を隔てるのはお面。2022/01/01

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