講談社学術文庫<br> 病が語る日本史

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講談社学術文庫
病が語る日本史

  • 著者名:酒井シヅ【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2021/06発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061598867

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内容説明

平安時代の人々は病気に罹ると怨霊・物の怪の所為とそれにおびえ、加持祈祷を大々的に行った。また仏教の伝来、遣唐使の派遣は海外の伝染病をもたらした。そして疾病の蔓延は人々を苦しめ、政治を動かし、大きく変えもした。
寄生虫に冒され、結核やポリオも病んだ縄文・弥生の人々、贅沢病ともいえる糖尿病で苦しんだ藤原家一族、江戸時代猛威をふるったインフルエンザやコレラ。
その他、天然痘、麻疹、梅毒、眼病、脚気など、各病気と当時の人びとがいかに闘ってきたかを、歴史上の事件、有名な人物の逸話を交え、〈病〉という視点を軸に展開していきます。
日本武尊の死因・脚気の原因はいつ明らかにされたか?
もし武田信玄がガンで急死しなかったら?
具体的な謎解きをまじえ、読者の興味を引き付けながら、それらの病が日本の歴史に及ぼした影響をさぐってゆきます。

医学史研究の第一人者が語る病気の文化史であり病気の社会史です。

原本 『病が語る日本史』講談社、2002年刊


●主な内容
第一部 病の記録
骨や遺物が語る病/古代人の病/疫病と天皇/光明皇后と施療/糖尿病と藤原一族/怨霊と物の怪/マラリアの蔓延/寄生虫との長いつきあい

第二部 時代を映す病
ガンと天下統一/江戸時代に多い眼病/万病のもと風邪/不当に差別されたらい・ハンセン病/脚気論争/コレラの恐怖/天然痘と種痘/梅毒の経路は?/最初の職業病/長い歴史をもつ赤痢/かつては「命定め」の麻疹

第三部 変わる病気像
明治時代のガン患者/死病として恐れられた結核/ネズミ買い上げ--ペスト流行/事件簿エピソード/消えた病気/新しく現れた病気/平均寿命と死生観

関連文献 
あとがき

目次

第1部 病の記録
1 骨や遺物が語る病
2 古代人の病
3 疫病と天皇
4 光明皇后と施療
5 糖尿病と藤原一族
6 怨霊と物の怪
7 マラリア(おこり)の蔓延
8 寄生虫との長いつきあい
第2部 時代を映す病
1 ガンと天下統一
2 江戸時代に多い眼病
3 万病のもと風邪
4 不当に差別されたらい・ハンセン病
5 脚気論争
6 コレラの恐怖
7 天然痘と種痘
8 梅毒の経路は?
9 最初の職業病
10 長い歴史をもつ赤痢
11 かつては「命定め」の麻疹
第3部 変わる病気像
1 明治時代のガン患者
2 死病として恐れられた結核
3 ネズミ買い上げ――ペスト流行
4 事件簿とエピソード
5 消えた病気
6 新しく現れた病気
7 平均寿命と死生観

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

59
古代から現在まで人間は常に病と共に歩んできた。これは日本が病とどう向き合ってきたか、病が日本史にどのような影響を与えていたかを考察した一冊。とはいえ小さなエピソードの積み重ねなので、どの部分も重苦しくはなく楽しんで読む事ができた。特に病が時代によってどのように捉えられてきたのかという部分と、新しい病とそれに対する対処、西洋医学による革新等の部分が特に興味深く読める。こう見てみると現代って医術の観点から見ると本当にありがたい時代である事がわかるなあ。今だと治る病気が昔なら死病というのもよくあったみたいだし。2014/07/02

レアル

54
タイトルの如く、古代から日本人がかかってきた疫病について書かれている。疫病の歴史も面白いが、時代によって疫病の捉え方も変わってくる。例えば古代は疫病の原因は祟りであったり、失政のせい等という事になるとお祓いや失政者の首を取り換える等、時代により疫病対策が多様でそれらの歴史を知ることもまた楽しい。2020/07/19

shikashika555

42
古代より人々が病というものをどう捉えていたのか。 疫神や怨霊と捉えていた時代からはじまって、痘瘡、糖尿病、マラリヤや寄生虫、脚気、ガンなど(天然痘は撲滅されてるが)現代人も病む病がどのようであったのかを記録をもとにまとめられている。 面白かったのが時代劇で出てくる「癪」や「疝気」について解説してくれている章。疑問に思いながらも知らぬまま来てしまった事を詳しく教わって(でもよくわからないが)知ることが出来た。 あと、売血制度が無くなったきっかけがライシャワー事件であったことを知らなかった。そうだったのか。2020/07/11

翔亀

38
【コロナ47】医史学者による縄文時代から現代までの病気史。通史ではなくトピックス(主に疾病別)ごとのエッセイを集大成したのもなので読み易く、それでいて網羅的なのでこの分野の全体像も把握できる。マクニール「疫病と世界史」【コロナ2】みたいな、疾病が日本史を動かしたとする分析ではないが、日本人も常に病気、特に伝染病に苦しんできたことがよくわかる。世界史に比べれば、少しは馴染みのある日本史だが、そうだったんだと初めて知ることばかりだった。改めて"病"という眼で日本史を全く見てこなかったことを痛感する。↓2020/08/26

Galilei

30
幕末のコレラ大流行により急加速で維新となった事は目からウロコです。なるほど、1858年の大流行以降、攘夷と称し、実は感染者の外国人のせん滅が流布した事は当然です。旗本一万旗といいながら、京の倒幕に出仕せずにいたのは、武士が西国のコレラ感染を恐れ、感染者が江戸へ戻って感染拡大を盾に出兵せず、本音は江戸に引っ込んでいたかったのでしょう。その証しは新撰組で、無頼の浪人者なら感染を恐れない者がいくらでもいるので、旧来の旗本は面子どころでなかったのでしょう。一方、長州と薩摩は密貿易で海外事情に精通してました。続く 2020/05/31

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