創元推理文庫<br> 憐れみをなす者 下

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創元推理文庫
憐れみをなす者 下

  • ISBN:9784488218249

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内容説明

船長から捜査の全権を委任されたフィデルマは、巡礼たちに聞き込みをする。だが船に乗っている修道士、修道女は奇矯な人物ばかり、被害者に思いを寄せていた者、嫉妬していた者、被害者の行状を良く思っていなかった者と、様々な感情が被害者をめぐり渦巻いていたことがわかってくる。捜査は難航し、相変わらず自分勝手でなれなれしいかつての恋人キアンに、フィデルマは苛立ちを隠せない。外からはサクソンの略奪船の影が迫り、内では殺人事件。フィデルマは目的地サンティアゴ・デ・コンポステラ到着までに、犯人を見つけることができるのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さつき

61
人間関係がひたすらドロドロして、とても神に仕える巡礼団とは思えない様相でした。こんな騒動に巻き込まれる事になったカオジロガン号の乗組員に同情したくなります。フィデルマはずっとエイダルフの不在が堪えていましたが、最後の最後にまた不穏な知らせが!これは続きが気になります。2024/04/04

星落秋風五丈原

42
そうこうするうち死体はないのに船の中に血だまり発見というわけで、フィデルマのいる所事件あり。「お忍びなんだから身分は明かさないで」という願いも空しく(というかキアンが一緒の舟にいる時点で駄目だろう)あっという間に王の妹にして云々という肩書がばれて一人推理モード。側にいないエイダルフを思い出し、たとえるに事欠いて鬼火かよ!と突っ込みたくなるが、とにかく自分にとって大事な人が誰なのかははっきりとわかったらしいフィデルマに届いた衝撃の便り!次は短編集らしいのでこの続きは更に待つことになりそうだ。2021/04/07

ネギっ子gen

40
上巻の冒頭での殺人。被害者は、巡礼団まとめ役のカナー修道女。彼女が殺害されたことを、フィデルマは知らない。それが捜査にどう影響するか――。船に乗っている修道士や修道女は奇矯な人物ばかり。被害者に恋慕していた者、嫉妬していた者、被害者を良く思っていなかった者、と、様々な感情が被害者を巡って渦巻く下巻――。『箴言』『詩篇』など、旧約聖書から引用多く、それが文語譯なので嬉しい。こちらは旧弊な人間ゆえ、今の共同訳より格調高き文語譯が好み。巻末の懇切な訳注も有難し。連れ合いの誘惑に負け、このシリーズ、最初から……⇒2022/02/03

ネコベス

39
巡礼の船旅に出た修道女のフィデルマは船内で死体を発見。船長から捜査を全権委任されたフィデルマは乗船客の中にいると思われる犯人を捜して巡礼者に聞き込みを始める。七世紀アイルランドを舞台に弁護士を兼ねる修道士フィデルマの活躍を描いたシリーズ。著者がこの時代の社会を理想化し過ぎていて、極めて洗練された法体系や文化がちょっとファンタジーっぽく感じるが、詳細な時代背景の解説付きで当時の人々の風習や生活感が興味深く楽しめた。2021/04/12

ぽんすけ

34
今回はいつもより真相に辿り着くまで時間がかかった。サクソンの私掠船に狙われたり、海の上という不安定要素もあるけど、やっぱり一番はフィデルマの精神状態が普通じゃなかったことだと思う。キアンという過去の黒歴史がことあるごとに影を落とし、上下巻通してなかなか冷静になれなかったように見えた。キアンは突き抜けてクズ男ですね!本当に上巻でも書いたけど、ようこんな男に引っかかったなフィデルマ。結局何件もの殺人も突き詰めればこの男のせいだし、本当に罪作りな奴だわ。そして最後の最後にでかい爆弾が爆発するし、エイダルフー!!2023/03/01

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