ミステリ・フロンティア<br> 雨と短銃

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ミステリ・フロンティア
雨と短銃

  • 著者名:伊吹亜門【著】
  • 価格 ¥1,599(本体¥1,454)
  • 東京創元社(2021/02発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488020118

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内容説明

慶応元年、坂本龍馬の仲介により薩摩藩と長州藩は協約を結ばんとしていた。長きに亘った徳川の世から新たな日本の夜明けを迎えるのだ。しかし、一件の凶事が協約の締結を阻む。上洛していた薩摩藩士が稲荷神社の境内で長州藩士を斬り付けたというのだ。更に下手人は目撃者の眼前で、逃げ場のない鳥居道から忽然と姿を眩ませた。このままでは協約協議の決裂は必定、倒幕の志も水泡と帰す。憂慮した龍馬の依頼を受けて、若き尾張藩士・鹿野師光は単身捜査に乗り出す。歴史の大きな転換点の裏で起きた、不可能犯罪の真実とは。破格の評価を受けた『刀と傘 明治京洛推理帖』の前日譚にして、著者初となる時代本格推理長編。/【目次】序章に代わる四つの情景/第一章 龍馬が来た/第二章 村雲稲荷/第三章 菊水を追え/第四章 明保野亭にて/第五章 黒と白/第六章 無惨/第七章 鹿ヶ谷騒動/第八章 六条数珠屋町の血戦/第九章 急転/第十章 三条小橋の二人/第十一章 友の死/終章に代わる四つの情景

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

131
幕末動乱期の行方を決めた薩長同盟締結前夜に起きた長州藩士傷害事件を、『刀と傘』でも活躍した鹿野師光が坂本龍馬と一緒に推理する設定が心憎い。テロが横行する京都で西郷隆盛や土方歳三も絡み、危険にさらされながら真相解明に奔走する鹿野の姿は刑事ドラマさながらだ。政治的英雄たちの輝きの影には、巻き込まれて葬られる無名の戦士が墓もなく打ち捨てられる。著名な人や史実と創作を交差させ物語を盛り上げていく山田風太郎の明治もので確立された小説手法を自在に駆使した著者は、山田の後継者としての地位を要求できる技量を示してみせた。2021/11/19

cinos

84
薩長同盟を画策する竜馬と上岡、そんな時切り殺された長州藩士とその場に立つ血まみれの薩摩藩士。竜馬が薩摩藩士を追うと、消えたと言う。読みやすくて、なぜそうしなければならなかったのかのホワイダニットがよくできています。犯人は見当がつきますが、なるほどです。2021/06/06

オーウェン

66
「刀と傘」の前日譚。1作目も面白かったがこの2作目も事件の真相から主題が透けて見えてくる。薩長同盟が間近に迫る中、長州藩の人間が切られる事件が発生。この事態に仲介役の坂本龍馬は尾張藩の鹿野に下手人の捜索を依頼する。時代劇で間違いないがミステリでもある。切り付けた人間は誰なのか。また事件の連鎖は続いていく。その中で薩長それぞれの思惑や、暗躍する新選組も隙を狙ってくる。史実にフィクションを混ぜ合わせており、犯人の動機も至極納得できる。ただ犯人当てという意味では、この人しかいないという分かりやすさはちょっと残念2021/04/21

mii22.

64
デビュー作『刀と傘』の前日譚。不可能と思える犯罪とその動機の謎を追うミステリだが前作同様幕末という激動の時代と実在人物や史実をうまく取り入れた構成に惹かれあっという間に読了した。連作短編集だった前作に軍配は上がるが、次の作品にも期待したい。2021/08/11

シャコタンブルー

62
幕末維新史上の奇蹟と言われた薩長同盟。その道すがら長州藩の武士が何者かに襲われる事件が発生する。坂本龍馬から事件解明の依頼を受けた尾張徳川の鹿野が真相に迫る。激動の幕末が鮮やかに描かれている。藩のために戦う者、幕府のために行動する者、それを越えて未来を見据えて行動する者。それぞれの思惑が交錯し、やがて真犯人の目的が見えてくる。坂本龍馬の包容力、西郷隆盛の底知れなさ、土方歳三の冷徹さ、中村半次郎の凄み・・生きるか死ぬか、己を省みず信念を貫く志士の生き様は迫力満点。謎解きも加わり高揚感もあり堪能した。2021/04/27

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