幕末の女医 楠本イネ シーボルトの娘と家族の肖像

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幕末の女医 楠本イネ シーボルトの娘と家族の肖像

  • 著者名:宇神幸男【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • (株)現代書館(2020/10発売)
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  • ISBN:9784768458242

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内容説明

謎に包まれたシーボルトの娘、イネの実像に迫る

幕末から明治にかけて生きた楠本イネ。父はシーボルト。様々な苦難を越えて父と同じ医師となる。「オランダおいね」として知られるが、これは吉村昭の小説『ふぉん・しいほるとの娘』によるところが大きい。本書では、小説のイメージが定着してしまった楠本イネ(と娘・高子)の実像に迫る。「イネと高子。その生涯の波瀾万丈、悲痛なことは想像をはるかに超えていた」と著者は言う。宇和島在住だからこそ発見できた新史料を発掘・駆使して、新しい楠本イネ像を活写。

【著者】
宇神幸男
1952年、愛媛県宇和島市生まれ。音楽評論家・作家・宇和島市「南予文化会館館長。著書に『神宿る手』『ヴァルハラ城の悪魔』(講談社)、『水のゆくえ』(角川書店)、シリーズ藩物語『宇和島藩』『伊予吉田藩』(現代書館)などがある。

目次

第一章 シーボルトの来日と追放
第二章 女医への道
第三章 宇和島
第四章 シーボルトの再来日
第五章 長崎特派員イネ
第六章 明治を生きる

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

桑畑みの吉

5
2018年3月発行。ドイツ人医師シーボルトと日本人女性の間に生まれた楠本イネ(1827‐1903)の評伝。幕末~明治時代に女医として活躍したが、混血故の差別も多かったと思う。そんな彼女の医師としての能力、人間性、苦難の生涯を確認したくて本書を読んでみた。しかし本書のあとがきにもあるが、日記や回顧録を一切残さなかった為に意外とその一生は謎の部分が多い。現存する関係者との手紙のやり取りをメインにイネの行動を推測する部分が多くて歯がゆさを感じた。イネが父の弟子に強姦されて妊娠したエピソードは強烈だ。2022/05/31

ayano

3
シーボルトの娘、イネさんについて資料等を網羅した感じの本。といっても作者も断ってるとおり、本人に関する資料が少ないので関係した人の話、動きについても多く割かれている。時系列で書かれている部分もあって、日付ごとに人物が変わったりもするので、正しいが読みにくい。「あぁ、誰かこれを、日常を補完しつつ小説(物語)に!」と思いながら読んだ。有名人の娘だが、決してそのせいで楽だったわけでなく、苦労しつつ生きたことがよくわかる。2020/09/28

Uz あなぐま

2
数年前に小説「花神」をきっかけに知った楠本イネ。資料が少なく断片的だが写真と書簡から著者が構成するイネとその家族は、混血のヒロインや医学に尽くした偉人というよりも、その時代に生きた市井の人々だったと感じた。頼りにするべき身内の相次ぐ早世や、女性蔑視が原因の醜聞など、不運がありながらも生きるために助け合いながら暮らしていた様子が見える。イネの職業がら分娩の予後について書かれているが、出産が(この時代は特に)母子にとって生命の危険のある一大事だったと改めて感じる。2019/04/19

huwaraidou1978

1
シーボルトとタキさんの子供である。イネさん。そして、その子供、高子さん。時代背景と共に取り巻く人間関係。お互いに抱いたであろう感情が上手く表現されてて面白かった。 高貴さがなく、庶民の私でも生き方として大変参考になりました。2022/01/02

あきこ

1
シーボルトの娘イネについては吉村昭の小説で読んだが、興味はそれ以降続いている。本書は成長して女医として活躍する一方、娘の高子とその子どもというシーボルトの血縁者を抱えた生涯の足跡である。イネは混血という外観よりもその実力で動乱の幕末から明治の時代を生きぬいた。当時女が一人で生きていくのは並大抵のことではなかっただろう。その容姿を受け継いだ高子もしかりである。異母兄弟の来日は支えになっていただろう。とにかくその生き様は強くたくましい。腕に職業を持ったイネの誇りを感じた。2018/05/24

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