内容説明
母を亡くしたあと、両親の家の片づけが手に付かない。涙で思い出が曇る――
一時避難のつもりで八ヶ岳の麓の家に暮らして2年がたった。
山での四季があまりにも美しくて、離れられない。
それでも暮らしに不便はつきまとう。買い物難民、ご近所付き合い、越冬。
それらをひとつひとつ乗り越えながら、山の家での暮らしを作っていく。
ここに一人でいると、なにからも自由な、すっかり解放された感覚と、内側へ深く入っていく自分の両方を強く感じた。――本文より
母の思い出と不在をともに みしめながら、
ひとりで暮らす深い豊かさを綴る珠玉のエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
97
両親の残してくれた山の家、八ヶ岳南麓での暮らしを綴った作品です。横浜の家から移り住んだ3年間の暮らしの厳しさ、驚き、喜び、そして自然の美しさが、イラストと同じように素朴で味わい深く描かれています。58歳という年齢の支えも大きいのでしょうが、一人で暮らすことを心地よいと思える感性の豊かさと強さに惹かれました。猫はいますが。虫の章、雪の章、小鳥の章などいくつかの章があって、どの章もおもしろいのですが、モラトリアムの章の『亡くなった両親の家を片づける悲しく辛い経験』についての文に、自分もそうだったなと共感。2020/11/13
ぶち
91
もう何十年も前に読んだ著者の『ハワイ島アロハ通信』。観光の地ではなく生活の地としてのハワイ島の人,植物,食べ物等を美しいイラストと共に紹介しているこの本にすっかり魅了され、以来著者のイラストと著作のファンとなりました。この『五十八歳…』も、山の別荘という特別な場所ではなく、"日常"の生活そのものを綴ったエッセイです。八ヶ岳には八ヶ岳の日常がある。ただ、それだけなんです。虫、雪かき、買い物など、苦労の多い暮らしの実際をこなすうちにお母様を失った悲しみは少しずつ癒やされていく様子に強く惹かれた本でした。2024/02/10
くろにゃんこ
57
タイトル借り。イラストレーターの方なのですね。いきなり虫の章で(*_*)寒さ対策も大変です。それでも自然の豊かさ、鳥の訪れなどとても魅力的でした。亡くなったお母さんへの想いや感じ方に深く同意。そのことで語り合いたくなっちゃいました(笑)2021/04/23
ケディーボーイ
36
八ヶ岳の麓の家。 豊かな自然の中、四季を感じながら過ごせるのは本当に羨ましい。しかし山暮らしに不便は当たり前だがつきまとう。 著者は元々長く田舎暮らしをしていた方ではないので、都会の人間が戸惑う事もしっかり書いていてくれてて参考になる。 猫はほとんど出てこないが、山暮らしへの憧れを高めてくれる良い本。 自分も憧れの庭はイングリッシュガーデン。2023/05/29
りお
35
寒くて虫も出る所は自分で対策出来るようになるまでとっても大変そう。でも不便さの中の魅力を見つけて楽しめるのはすごい。 手書きの絵も綺麗で癒される。2022/02/02