内容説明
産まれたばかりの息子が、おっぱいを飲んでくれない。こんなはずじゃなかった。途方に暮れた新米ママの和美は、「おっぱい先生」のいる助産院に辿り着く。そこで思いがけない助言を受け、乳房に触られることで、母親失格と思い込んでいた身体と心が、じんわりとほぐれていく――。おっぱいに悩みを抱える女性たちが駆け込む、母乳外来の助産院を舞台に、性格も家庭環境も異なる4人の母親たちが救済を得ていく姿を描く感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ででんでん
106
とてもよかった。最後の章では涙が。長男出産時、うまく授乳できず、桶谷式のマッサージをしているところも近くになく、本を見て何とかやっていたが、早く仕事に復帰して授乳回数が減り、だんだんミルクになってしまったこと。そのためかどうかアレルギーが出て、何となく申しわけない気がしたこと…。次男、長女は何のトラブルもなく嘘のように楽しい授乳だったこと…。登場人物のなかに右往左往していた過去のいろんな自分がいるようで夢中で読んだ。当時律子先生に会いたかった❗これはほぼレビューではない。まあいいか…。とにかくよかった。2020/07/24
モルク
97
「母乳外来」専門家の助産院を訪れる母親たちの4つの話。おっぱいを吸ってくれなかったり、出なくなったり、痛み、断乳とそれぞれ悩みを抱え助産院に行くまで一人で葛藤している母親たち。それがおっぱい先生のもとを訪ね一挙に闇が晴れてくる。娘の出産後を思い出す。おっぱいを吸ってくれず搾乳機でとり哺乳瓶で…といううちにひどい乳腺炎に。産院にいっても薬と点滴だけ、年末年始を挟み産後鬱も混じり痛みと母乳をあげられないもどかしさで娘は毎日涙涙。そんなとき紹介された桶谷式のMさん。結局切開しなければならなかったが→2020/08/07
ゆみねこ
97
泉ゆたかさん、初読み。『母乳外来』専門のみどり助産院は、おっぱいに悩みを抱えるお母さんたちが駆け込む場所。はるか昔の自分の子育ての時、記憶に新しい娘の時のこと、読みながら記憶を重ねていました。出産迄のことは様々な情報があふれているのに、確かにおっぱいのことはあまり知らない人が多いのかも?これからパパママになる方にはお薦めです。2020/08/02
きむこ
89
夢中で読みました。とてもシンプルな短編集ですが、おっぱいでトラブった経験のあるお母さんなら皆共感できる内容。1人で頑張りすぎて壊れかけているお母さんにも感情移入してしまいました。青筋が浮いたホルスタインのような乳房、赤く腫れたしこり、高熱、慣れない搾乳で肩首はパキパキ、あの頃の私のおっぱいはトラブルだらけでした。私を救ってくれたのは桶谷式の先生でした。何組かのお母さんと赤ちゃんが登場しますがどの悩みもまさにあの頃の自分で、ぎゅっと抱きしめて『大丈夫だよ』と声をかけたくなりました。良作です★52020/06/23
はる
71
これはおすすめ。良かったです。誤解を招くようなタイトルですが、とても真摯な物語。母乳外来の助産院を舞台に、性格も家庭環境も異なる4人の母親たちが救済を得ていく姿を描く連作集。孤独感や不安でいっぱいの若い母親たちにとって、「おっぱい先生」こと律子先生のような存在は何て頼もしいことでしょう。ぽかぽかと心が温かくなるような読後感。作者の泉ゆたかさん、お名前から男性かと思ったら女性でした。2020/07/17