講談社文庫<br> 台所のおと

紙書籍版価格 ¥638

講談社文庫
台所のおと

  • ISBN:9784062630276

内容説明

女はそれぞれ音をもってるけど、いいか、角(かど)だつな。さわやかでおとなしいのが、おまえの音だ。料理人の佐吉は、病床で聞く妻の庖丁の音が微妙に変わったことに気付く……。音に絡み合う、女と男の心の綾を、小気味よく描く表題作。ほかに、「雪もち」「食欲」「祝辞」など、全10編。五感を鋭く研ぎ澄ませた感性が紡ぎ出す、幸田文の世界。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社トリスタの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

299
この装丁、このタイトル、そして幸田文さん、とくれば誰でも身辺のエッセイ集だと思うよね。読み始めてすぐに、どうやら違うぞ、でもいいぞいいぞ、と読み進んだ。父・露伴に仕込まれた教育(あとがき参照)のもと、日々を慈しむ暮らし、「やわらか」ながらどこか静謐な筆致。今日活躍する作家さんの誰にも似ないその個性、さすがです。2017/11/04

ちゃちゃ

121
気配を感じるということ。それは、感覚を研ぎ澄ませて目に見えぬものを掬い取ろうとする営み。病床に臥せる夫が、襖一枚隔てた妻の台所しごとから感じとるもの。俎をたたく包丁の音、菜を洗う桶の水音から、妻の心ばえが伝わってくる。一方妻は波立つ心を夫に悟られまいと気遣う。こんな短編が読みたかった…と、思わず溜息がこぼれてしまう。小気味よい韻律を感じさせる歯切れの良い文体で、人の心の機微を繊細に描きあげる。気配で相手を慮るという日本人の美しい心のありように、モノクロ写真の味わいが重なる。表題作「台所のおと」のレビュー。2019/02/16

ふう

120
味わい深く、しっとりと心に沁み入る作品です。10の話に登場する女性たちの身の処し方、心の処し方が、ほどの良い賢さで美しく、幸せというものはこんなふうにささやかでつましいものなのかもしれないと、しみじみとした気持ちになりました。弱いのではなく、むしろ強い女性たちです。言葉や文章にもしなやかな品の良さがあって、いい表現だな思うところがたくさんありました。「年をひろう」「朝の、いい人だった」「季節の受取りかたがだんだんへたになって…」 あげだすと切りがないほど、作品全体に渋く光るものが散りばめられていました。2015/04/13

優希

113
凛とした文章が心地よい短編集でした。五感を鋭く研ぎ澄ませた感性で紡がれた作品はじんわりと心に広がっていきます。他の人の心を伺う日本人特有のあり方を美しく描き出している物語の数々に魅せられました。生きること、人であるが故の営み。そういったものを強く描き出しているからこそ受け取るものが多くあります。幸田文の文章が好きだなと改めて感じました。2016/11/24

naoっぴ

103
素晴らしかった。女性の情や心の機微といったものを丁寧に集めて仕立てた十話の物語。なんと言っても文章がいい、背がぴっと伸びる上品さがいい、礼儀正しいけれど女性の心の奥に隠れている底意地をちらりと見せたりするところがいい。日々の暮らしの美しさや潔さ、妻として女としての矜持のようなものを流麗な文章にのせて描き、その美しさにうっとり。中でも表題作は‘音’の表現の素晴らしさや夫婦の愛情を感じ、ため息をつきながら読んだ。他、「食欲」「祝辞」もいい。大切な一冊になった。2018/04/27

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