内容説明
メジャーデビューを果たしたロックバンドのボーカリスト・ミツトがマンションのベランダから転落し、この世を去った。バンドの中心的存在を失い、残されたメンバーの日常が一変する。ミツトは何故死んだのか? バンドの存続は? 今後の人生は? 不安と悩みを抱えながら未来を切り拓こうとする若者達の姿を描く長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シャコタンブルー
44
人気バンドグループのサイナス。その天才ボーカリストのミツトが28歳で夭折。残されたギター、ベース、マネジャー、ドラム、キーボード5人のメンバーそれぞれの視点から各章が描かれる。一人の天才を失った事による喪失感、虚無感、そしてメンバー同士の葛藤や微妙な距離感の違いが伝わってくる。それぞれの性格や個性が繊細に描かれているので、バンド活動の苦しみ、楽しさメンバー全員と苦楽を共有している連帯感のようなものが湧き上がってくる。本の表装も横断歩道を各自バラバラに歩きながも一つの方向に進むメンバーを上手く表現している。2020/03/21
kei302
43
自分はからっぽ。それでいいんじゃない。書名と表紙イラストに惹かれて手にした一冊。音楽は人と人を繋ぐ。天才的なボーカリストを失ったバンドメンバーの気持ちが交錯する短編連作。ドラムのまきの章がよかった。マネージャーの匠の章は泣けた。2020/04/04
あっ!chan
37
多くを語らず、わがままで、こと音楽についてはひりひりするような緊張感を醸し出す...まさに才気あふれるミツトを中心に集まったロックバンド「サイナス」、そのメジャーデビューを果たしたとたんに彼は突然世を去った。兄や恋人を含むメンバーたちは、ミツトとの思いでをたどりながら、これからの生き方を模索する。それぞれに見せたミツトのもう一つの人間らしい優しさを振り返りつつ、解散がちらつく追悼ライブの後にだしたそれぞれの答えは...「思い出してあげることが、生きている人の務めだよ」ミツトの一言が母を亡くして身に染みる。2022/03/10
達ちゃん
22
音楽の良さ、仲間の大切さなどなどじんわりと味わえるとてもいい話でした。このバンドのライブ、ぜひ聴いてみたいです♪2022/05/31
ゆにこ
12
なんとなくタイトルが気になった、初読みの作家さん。実写化したらドラムはほないこかにやって欲しい。2021/02/02