文春e-book<br> 選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子

紙書籍版価格 ¥1,870

文春e-book
選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子

  • ISBN:9784163908670

内容説明

その女性は、出生前診断をうけて、「異常なし」と
医者から伝えられたが、生まれてきた子はダウン症だった。
函館で医者と医院を提訴した彼女に会わなければならない。
裁判の過程で見えてきたのは、そもそも
現在の母体保護法では、障害を理由にした中絶は
認められていないことだった。
ダウン症の子と共に生きる家族、
ダウン症でありながら大学に行った女性、
家族に委ねられた選別に苦しむ助産師。
多くの当事者の声に耳を傾けながら
選ぶことの是非を考える。

【目次】
プロローグ 誰を殺すべきか?
第一章 望まれた子
第二章 誤診発覚
第三章 ママ、もうぼくがんばれないや
第四章 障害者団体を敵に回す覚悟はあるのですか?
第五章 提訴
第六章 母体保護法の壁
第七章 ずるさの意味
第八章 二十年後の家族
第九章 証人尋問
第十章 無脳症の男児を出産
第十一章 医師と助産師の立場から
第十二章 判決
第十三章 NIPTと強制不妊
第十四章 私が殺される
第十五章 そしてダウン症の子は
エピローグ 善悪の先にあるもの

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

170
第50回(2019年)大宅壮一ノンフィクション賞。 出生前診断を 巡る問題に取り組んだ作品である。障害を持つ子どもを産む可能性に対して、その母たちは 何を考え、選択してきたのか?誰が加害者で 誰が被害者なのか? この重いテーマを 丹念に 取材する …多くの当事者の声に 耳を傾けながら、 苦渋の選択の苦しみを知る…重いテーマの 作品だった。2019/08/04

ちゃちゃ

120
医療技術が飛躍的に進んだ現代。その恩恵を享受する私たちは本当に幸せなのか。特に生死に関わる多くの選択肢が準備され、私たちは自己決定を迫られる。かつては「天から授かった命」だったものが、今は選別の対象となる。重い先天性疾患を持つ胎児は選別の対象なのか。神の領域に踏み込むことへの畏れ、恐れ。出生前診断の是非を安易に結論づけることは到底できない。「正しい選択」などあり得ない。あるのは、苦渋に満ちた選択を受け入れて生きてゆくことだけだ。けれどそこに、医療者や社会の真摯な支援の手と温かい視線が不可欠だと強く思う。2019/12/11

あっか

111
はあ…涙。天聖君、潤君、デイヴィッド君達…本を閉じた今も忘れられません。出産前診断の誤診による田中夫婦の裁判を中心に、今日の中絶に至るまでの歴史、強制赴任の裁判と当事者を取材した1冊。著者の後書きに全て言いたいことが書いてある。正しい正解はない。わたし達ができるのは、その時その時真剣に考え抜きその時ベストだと思うことを決断することだけ。どんな経験や価値観があろうとその選択に他人はとやかく言えないと思う。やっぱりこうして良かった、というのは結果論だと思うし…経済状況や精神状況で取れる選択も変わると思うから。2019/09/02

あすなろ

96
エピローグの医師側弁護士の発言がラストにまた心を揺さぶる。それは恰もこの本の全てを象徴するかの様。私は絶対に許さない。人間が人間の命を選別すること自体。この事件を担当するのが本当に嫌だった、と。出生前診断の誤審で生まれた子とサブタイトルある通り、出生前診断から中絶や母体保護法、優性保護法、強制不妊迄書かれる。実に様々な事や自身の経験してきたことを重ね考え続けた読書だが、著者が読者に突き付けるのは、どんな子を誕生させ、どんな子を殺すのかということ。医学的には誰一人完全に正常な遺伝子を持つ者などいないとのこと2019/08/19

どんぐり

87
NIPT(新型出生前診断)の誤診でダウン症の子を出産(出産3か月後に死亡)したとして、医師に1000万円の損害賠償訴訟を起こし勝訴。これは、重篤な先天性障害を持って生まれた場合に、医療従事者が過失を犯さなければ、その子の出生は回避できたはずであるという「ロングフルバース訴訟」である。NIPTによって出産の場でどういった倫理的な問題が生じているのか、NIPTで染色体異常に陽性が出ると9割の人が中絶を選択している現実。そこを焦点化したノンフィクションである。胎児に重篤な疾患がわかった場合、妊娠を継続し、出産後2019/03/24

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