新潮クレスト・ブックス<br> あの素晴らしき七年

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新潮クレスト・ブックス
あの素晴らしき七年

  • ISBN:9784105901264

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内容説明

戦闘の続くテルアビブに生まれ、たくさんの笑いを運んできた幼い息子。常に希望に満ちあふれ、がん宣告に「理想的な状況だ」と勢い込んだ父。現代イスラエルに生きる一家に訪れた激動の日々を、深い悲嘆と類い稀なユーモア、静かな祈りを込めて綴った36篇。世界中で人気を集める掌篇作家による、家族と人生をめぐるエッセイ集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

147
非常に素晴らしいエッセイ集です。イスラエルに住んでいる作家が息子の誕生からホロコーストから逃れ生き延びてきた父親の死までの7年間を36の4~5ページの小説のようなエッセイを時系列的に書かれています。イスラエル人の考え方などがよくわかりそれとともに家族の状況などを絡めています。この作者の短編集の「突然ノックの音が」も読みたくなりました。新潮社のこのシリーズはいい本をかなり出されています。2018/03/06

buchipanda3

119
小説のようなエッセイ集。良かった。ユーモラスであり、人生の深みを感じさせてくれる話ばかり。読めば読むほど著者の語りに魅了されていった。中身は彼の日常とか家族の話とか、イスラエル社会の話だったり。それが普通の話のようで普通でない。スタンダップコメディのように軽やか。でもその中にはリアルな人生の嬉しさや苦味、そして大切なことが見え隠れしていた。人生はままならないこともある。だけど誰の人生だって悪いものじゃないよって優しくも力強く励まされたような気がした。「打ちのめされても」の親父さんの言葉がとても印象深い。2020/03/12

めしいらず

93
テロの混乱の中で夫婦に息子が生まれた日から、かつてホロコーストを生き延びた父が逝ってしまうまでを繋ぐ七年。テロや爆撃が頻発するイスラエルにユダヤ人として生きるということ。それなのに本書が湿っぽくないのは、時折吹き出してしまう著者のユーモアのおかげ。「爆弾投下」での気の利いた逆説に不謹慎にも爆笑。「シヴァ」では久しぶりに集った姉兄と共に亡き父を偲ぶ著者。家族との思い出で一杯の、家族が一緒にいた頃のままの実家だから共有できた、大切なひと時。嬉しさ悲しさ離れがたさが綯い交ぜの複雑なその感情。何という味わい深さ!2016/11/07

どんぐり

93
イスラエル生まれの作家が書いたウィットに富んだエッセイ。1年目に息子のレヴが生まれ、7年目に父親をがんで失ったケレット。7年間に息子レヴの成長とともに記した家族の記録36篇。テルアビブでミサイルが飛び交う「戦時下のぼくら」は、空襲警報が鳴ると同時に、高速道路脇に車を停め、「パストラミ」で地面に伏せる。「さあ、パストラミ・サンドイッチごっこだ」。下にはママ、上にはパパ、レヴはパストラミ。この話が一番好きだ。2016/06/28

(C17H26O4)

90
日常を愛することについて考えさせられた。読み心地も軽めだしユーモアたっぷりなので思わず笑ってしまうのだけれど、その笑ってしまう気持ちに毎度ブレーキがかかる。イスラエルに生きるということはこういうことなのだ、人種に関する根深い問題や戦闘が日常にあるというのはこういうことなのだと思い知らされるからだ。息子の誕生から父親が亡くなるまでの7年間を綴った愛のあるエッセイ。著者はテルアビブ生まれでヘブライ語で執筆する作家であるにも関わらず、訳者あとがきによると、この作品をヘブライ語で、イスラエルで出版していない。2021/01/11

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