新潮文庫<br> アメリカン・ウォー(上)(新潮文庫)

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アメリカン・ウォー(上)(新潮文庫)

  • ISBN:9784102201312

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内容説明

2075年、環境破壊のために沿岸地域が水没しつつあるアメリカ。化石燃料の使用を全面禁止する法案に反発した南部三州が独立を宣言、合衆国は内戦に陥った。家族の大黒柱をテロで失った南部の貧しい一家の娘サラットは、難民キャンプへ避難する。北部へのゲリラ戦を繰り返す武装組織に接近する兄。サラットに自爆テロ攻撃をそそのかす謎の男。苛酷な運命に導かれる彼女はどこへ向かうのか――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

60
奴隷制から化石燃料。南北対立の火種の種類は異なれど、突き詰めれば、人の持つ欲が齎す自己破滅。生物兵器、難民キャンプなど、未来の話ではなく今、目の前で発生している事象。故に薄ら怖い。赤・青・紫の色分けされた世界地図が、ぼんやりと頭に浮かぶ。様々な意味での「報復」。サイモンやサラットが、武装勢力に惹きつけられる過程を否定できないのも、目の前の現実を反映している。ゲインズの娘の形見の首飾りに込められた意味は何か?後半の楽しみの一つ。奇跡の世代・・・、こんな”奇跡”なら不要。 2018/08/27

future4227

48
石油の枯渇と地球環境の激変により世界の国家再編が進み、アメリカ合衆国では第二次南北戦争が勃発するという近未来世界を描いた話。2075年という中途半端な未来設定のため、かなりリアリティーが感じられる。上巻はまずこの仮想社会の世界観を理解するのに費やされる。南部の難民キャンプでの生活が話の中心ではあるが、これはシリアの難民問題を想起させるし、北部軍の攻撃はナチスによるユダヤ人虐殺を彷彿とさせる。何が正しくて、何のために戦うのか?混沌の世界の中で、主人公の少女がどう変わっていくのか、下巻への期待が高まるラスト。2018/01/05

たまきら

26
語り口が最初良くわからず戸惑いましたが、流れに乗ったらもう止まりませんでした。だって…2020年に読んでますけど、既視感が半端ないんです。いやはや今年の大火といい、コロナウィルスといい、終末論者がもっと騒ぎ立ててもおかしくない事態です。しかも今回の大統領選のドタバタで南北の内戦もありうるのではと心配しているのですが、まさにアメリカの問題は世界の問題。ぞっとしながら下巻へ。2020/12/18

RIN

26
温暖化による海面上昇により海岸線が浸食されつつある約半世紀後のアメリカが舞台。化石燃料の使用禁止を巡り南部と北部が分裂し第二次南北戦争の最中、南部に住むサラットという少女を軸に(主人公?)物語は進む。世界の超大国は中国と中東諸国が一つになった国。内戦中のアメリカは中国の支援物資に頼り、経済が破綻した欧州からアフリカ、中東へと難民が押し寄せる。そんな世界は現在のネガのようでもあり今を延長した未来予想図のようでもある。叙事詩のような、ノンフィクションのようなドライな語り口が何とも不安を掻き立てる。下巻へ。2018/08/19

けいちゃっぷ

19
温暖化画進んで沿岸部が後退した近未来のアメリカ。 化石燃料の扱いを巡って、第二次南北戦争が起こる。 アメリカが舞台というよりは中東が舞台のような錯覚に陥る・・・。 前半は南部の難民キャンプがメインだが、サラの怒りは今の中東の人々の怒りにも受取れてつらい。 312ページ 2018/06/10

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