内容説明
ハンナ・アーレントはルクセンブルクの資本主義世界経済論と本源的蓄積論を評価、ローザの子供たちはそれを世界システム論に発展させた。
ウォーラーステインをはじめとする「四人組」の系譜学。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
13
ローザ・ルクセンブルクは難しさうでまだちやんとその著作は読んでゐないのだが、本書はルクセンブルクの思想の現在における可能性を示すものとして面白く読んだ。副題が「世界システムの思想史」としてあり、ウォーラーステインのやうな世界史の捉ヘ方の源流にルクセンブルクの思想があるといふことが本書の機軸である。資本主義的な経済社会とその外部の支配↔従属関係をルクセンブルクが提示したこと(マルクスのモデルの批判的修正)を踏まヘ、ソ連の公式的な世界資本主義理解とは異なるシステムを明らかにしやうとしたことが説かれる。↓2021/01/09
Haruka Fukuhara
3
ローザってローザ・ルクセンブルクのことか。4人組のうちウォーラ―ステインしか聞いたことなかった。2017/03/04
ひろ
1
ローザ・ルクセンブルクに連なる四人の世界システム論者の系譜と、彼らの示唆するところである来るべき世界の展望を描く本。端的に結末を述べてしまえば、ジェノバで勃興し、オランダ・イギリス・アメリカというヘゲモニー国家を産んできたという意味での資本主義世界システムは終わりを告げようとしており、次なるヘゲモニー国家はもはや現れず、混沌とした時代が長期的に訪れるであろうというもの。経済成長のためのフロンティアを失った世界では、複利というシステム、終わりなき成長という期待そのものが失効する。2019/03/23
学園都市のペンギン
1
主にローザ・ルクセンブルクの『資本蓄積論』、それに影響されてのちに「世界システム」を構築していく学者達の視点から資本主義について論じられた本であった。 全体に貫徹する問題意識として『資本蓄積』の議論がある。簡単に言うと、資本主義は非資本主義的地域を持つことがその存続の条件となるが、しかし非資本主義的地域はいずれ資本主義世界に組み込まれるため、未来においては資本主義は終焉が待ち構えているということである。 これが仮に正しいと仮定した場合、我々はどのようにこの終焉に立ち向かうのか考えなければならないだろう。2018/12/09
Mt. G
1
「資本主義世界経済」に注目したローザ・ルクセンブルクと、彼女に影響を受けた世界システム論者「四人組」(フランク、アミン、ウォーラーステイン、アリギ)についての簡潔・明快な系譜。それぞれの著作へたどって読みたくなります。なお、ローザ・ルクセンブルクも発展段階論(ex. レーニン、そしてロストウ)から自由ではないとは思いますが、それでも彼女の世界を読みとく力はスゴい。あと、議論の流れから言うと、ブローデルやホブズボウムらの議論との関係が気になるところ。2016/07/07
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