内容説明
絨毯乗りターリク、太守の娘サバテアは、バグダッドの宮廷魔導師、ビザンチンの狩人らとともに、第三の願いが見つかるという、伝説の都スカラバプールをめざす。一方ターリクの弟ジュニスは、兄との再会も束の間、マリヤムの最後の頼みを果たし、嵐の王の許からさらわれた童子を取り戻さんと、魔人の巣窟に向かう。そして魔人も、第三の願いの力を得ようとしていた。困難な道のりの末、スカラバプールに辿りついたターリクらを待つものは。謎の童子ジブリルの正体は。魔人に支配された世界の秘密が明らかに。ドイツ・ファンタジー3部作完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
30
表紙のシーンはカッコいいです!峰不二子ちゃんポジションで登場したサバテアが、出生の秘密が明らかになったり愛する人を救おうと必死になっていくうちにどんどん正当ヒロインっぽくなっていきます。ガラスの塊が沙漠を浮上していく姿や鳥人ロックが登場するシーンは沙漠のない国ドイツのアラビアンへの憧れを感じました。ターリクの内にある存在との葛藤はわかりやすい善と悪の葛藤ですね。葛藤しまくる登場人物の思考パターンは基本西欧。多分アラビアンはもうちょっと適当な気が。だって風吹いたら地形が変わっちゃう土地に住んでるんですよ。2016/08/10
みろ
5
砂漠の果てにあるガラスの大地、その下を動く巨大な影、翼を失った伝説の鳥人、人の願いをかなえる力の暴走などなど、独特な作者さんのイマジネーションがすごすぎて、これを翻訳するのは本当に難しかっただろうな。創られた世界を独立させた『第三の願い』の力の元はどこからきたのか、魔人達の行方とかいくつか気になることはあるけど、空飛ぶ絨毯の冒険はここまで。2016/11/24
まさ公
3
みんなボロボロになりながらも、よく頑張った。 ターリクかサバテアが玉座に座って願いを言ってほしかったな。 なかなか読みごたえがありました。2016/10/20
渡邊利道
2
三部作完結編。物語がどんどん進み、やや駆け足で説明的に真相が明かされていくのがものたりないと言えばいえるが、映像が浮かぶ派手なクライマックスで充実感のある展開だった。もっとも、きれいな大団円はどこかまとまりがよすぎてそうか私はファンタジーのよい読者ではないのだなという気もした。しかし魔術師の娘が蘇る場面はかっこよかった。2016/08/24
Nobuさん
1
空飛ぶ魔法の絨毯を飛ばすことだけは誰よりも上手い主人公ターリクが、己の血で瞬時に人を殺せる美女や、人の世界に全面攻撃を仕掛ける魔人群、体に竜巻をまとって敵を粉々にする嵐の王たち、願いをなんでもかなえるはずだけど力を失ったイフリート、世界の創生にもかかわる最強の魔術師などと、敵味方相交じり誰もが己の願いを叶えるための争いに巻き込まれるストーリー。物語を読んで、誰が勝つかわからないバトルロイヤルの展開も興奮ですが、「勝利」とは、誰かを負かすことではなく自分や誰かを生かすことじゃないのか、と思わせる作品でした。2021/12/10