角川文庫<br> 刑事マルティン・ベック 煙に消えた男

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角川文庫
刑事マルティン・ベック 煙に消えた男

  • ISBN:9784041014806

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内容説明

取材でハンガリーを訪れたジャーナリストが消息を絶った。単身ブダペストに飛び、 同僚からの情報を頼りに捜査に当たる刑事マルティン・ベック。だが、やがて執拗な尾行者に悩まされるようになり――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kircheis

324
★★★★☆ マルティン・ベックシリーズ第2作目。 ハンガリーで消えた男の行方を追うベック。捜査の過程で麻薬密輸グループを捕えることに成功するも、このグループと男の失踪は無関係だった模様。その後、幾つかのデータから犯人を特定するのだが、被害者がクズ野郎だったこともあって結末はほろ苦い。 半分以上は戦後ハンガリーが舞台となっており、『悪童日記』とそれに続く三部作の情景が頭に浮かんだ。 本作は少しだけミステリ的要素も入っており、個人的に頑張り屋だが未熟なステンステルムを応援したくなった。2024/02/10

修一郎

130
1960年代のブタペストが舞台で当時の東の雰囲気を残していて公安小説みたいなテイストだ。使われたトリックはゴーンさんも使ったパスポートチェックの穴だし。スパイが絡む国際問題かっ?て思わせて実はってオチだ。ヨーロッパ各地を飛び回るし読みにくい地名がじゃんじゃん出て来るので地図を見ながら読んでいった。マルティン・ベックさん,地道で着実な捜査ですねぇ。第4作までは読むことに決めてます。次,「バルコニーの男」へ。2020/05/24

ケイ

121
鉄のカーテンがあったころのブダペストの、ぞくっとする感じと落ち着かなさがよく出ている。マルティン・ベックは行方不明になった男を捜すためにブダペストに行く。そこで感じる不可解さ。この事件は何かがおかしい。東欧の旅行者へのシステムも不可思議だし、人々も不気味。特にハンガリー人少佐のスルカにいたっては、得体が知れず、KGB時代のプーチンのイメージを持った。しかし、このシリーズのいいところは嫌な奴もだんだんと人間味をもってくるところだ。スルカが特にいい。そしてベックがアールべりに葉書を書くところでは思わず微笑む。2016/05/14

巨峰

85
社会主義国ハンガリーで姿が消えたスウェーデンのジャーナリストを探すため刑事マルティン・ベックはバカンス返上でブタペストに赴く。正直地味な事件で展開も地味だと思うんだけど、当時70年代のブタペストの人や景色などがリアルに描かれており旅愁を誘う。まだこの時期の東欧は第二次世界大戦の傷跡が露わであることも、興味を覚えた。2018/10/19

papako

79
シリーズでもお気に入りのこの巻。ハンガリーヘ行方不明者を探しに行くマルティン・ベック。夏の休暇を返上したのに、なかなか捜査は進まない。なぜ彼は姿を消したのか?まだまだ社会主義国の影が色濃い欧州の事情も絡むけれど、真実は実にわかりやすいところにあった。何よりスルカ少佐と温泉に入るベックがいいんです。36時間帰っていないスルカにまだ働けと言うベック。鬼畜です。マルメの警察署でコルベリと出会って、さも当然という2人。スウェーデンとハンガリーで同じ答えに辿り着く2人。やっぱりいいな。地味だけど。2020/11/28

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