内容説明
グーグル、ホットメール、フェイスブック、アマゾンなどおなじみのオンライン世界の向こう側には、自由が限界まで追求され、人々がなりたいものになり、したいことができる、サイト、コミュニティ、カルチャーの、あまり表に現れない巨大なネットワークが存在する。創造的で複雑、かつ、危険で不穏な世界。あなたが考えるより、はるかに身近な世界。
本書は、現在のインターネット、そして、その最も革新的で危険なサブカルチャーである、荒らし、ポルノ作家、麻薬の売人、ハッカー、政治的過激派、コンピュータ科学者、ビットコインプログラマー、自傷行為者、リバタリアン、自警団員などに関する、啓発的な研究だ。さまざまな直接体験、独占インタビュー、そして衝撃的な文献証拠に基づき、自由と匿名の条件下における人間性の驚くべき一面を垣間見せ、変わり続ける謎の世界に光を当てる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nami
18
「みんなやっているから」という理由でインターネットを利用することやデジタルディバイドの危険性について改めて考えさせられた。巧妙化するサイバー犯罪に対して自衛できる人はごく少数だ。オフライン上では知り合う機会のない人とコミュニケーションが取れるのはオンラインの魅力の一つだが、故に未成年が狙われやすい。テクノロジーが生み出す力と自由をどう扱うか。インターネット上で犯罪に巻き込まれたり、逆に犯罪に加担したりすることがないようにする為の良識は、オフライン上でしか築けないものなのではないかと思った。2024/07/15
小木ハム
13
2008年頃?ガイフォークスの仮面を付けアノニマス(匿名集団)と名乗る人々が世間を賑わせた。その外見から不気味だなという印象半分『ちょっとカッコイイかも』半分でテレビを眺めていた自分は少数派だろうか。この本はそんな闇ネットで活動する人達に取材を行っており複眼するうえで刺激をもらう。第一章は荒らしの矜持みたいなものを垣間見た気がするが上級者は単なる暇人ではなくアジテーターとしての修練を積みたいのかなと感じた。終章はかなりSF。実際に自分の身体にデバイス(ヘッドホンとか)を移植している人が居ると知り驚愕。2018/10/09
DEE
12
普通に調べ物するくらいでは存在を意識しない、そしてその必要もない闇サイト。著者は実際に運営者や利用者に会って話を聞き、彼らの考えてることを少しでも理解しようと奮闘している。ドラッグ、児童ポルノ、自殺、自傷行為など扱われている分野は多岐にわたる。この本は単なるレポートではなく、なぜやどのようにまで迫る。 怖いのは闇サイトは決して深い所にあるわけでなく、数クリックで辿り着けてしまうケースもあるということ。そして自覚がないまま犯罪者になってしまう。 便利なインターネット、使い方は間違えないようしなければ。2019/08/13
スプリント
10
インターネットの登場で普通の暮らしをしている人も簡単にアングラな世界へ踏み込むことができるようになりました。炎上や晒しなどは日本でも騒がれていますが、知られざるアンダーグラウンドなデジタル世界を垣間見ることができます。2018/12/23
gu
7
新反動主義とか加速主義といった単語に対する興味の一環で読んだ。いわゆるダークウェブの話題だけでなく、特に前半は匿名掲示板の荒らし・晒し・ネトウヨなど私たちもうんざりするほど見知っているあれこれがインターネットと並行してどう発達してきたかが語られている。全体を通して、これらは技術である以上に思想の問題だということがわかる。反権力や検閲への抵抗、自由を求めることそれ自体は私も含め多くの人が賛同できるだろう。しかしそれらの思想が極端まで先鋭化し、生身の、実際に傷がつく人間を(意図するとせざると)振り落として2020/05/09