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内容説明
格差は長期的にはどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得格差と経済成長は、今後どうなるのか? 18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって、これらの重要問題を解き明かす。格差をめぐる議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
126
駆け足でさらっと読んだだけなので、どこまで神髄を理解したのかは怪しい。でも面白かったのは確か。産業革命以前の人類の人口動態はほとんどゼロ成長だったりとか、フランス革命後でも実は富は公平に分配されなかったとか、戦争の持つ強烈な富の分配作用とか、21世紀に入り再び富が一部に集中しようとしているとか。経済理論だけでなく、文学作品や映画などの引用を通じた各種時代の人々の金銭生活も興味深く、経済史の本としても楽しめる。ただ、理論の実証のためとはいえ、同じようなことが繰り返し説明されるのはややうんざり。2015/03/25
KAZOO
122
かなり文章的な記述が多かったので読むのに時間がかかって途中で簡約版・解説書などを読んできましたがやっと読み終わりました。資本論と比較されていますが、こちらはかなり実証的な感じで非常に説得力があります。いわれている資本収益率が経済成長率を上回っていくというのは、アメリカや日本が法人税を引き下げようとしているのでさらに顕著になる気がします。資本論もなんどか読んで難しさはあるものの理解できましたが、この本は資料をもとに分析しているので説得力があります。2017/12/03
たかしくん。
94
「r>g(資本収益率>経済成長率)が格差を拡げる」で話題の経済書ですが、その分厚さを感じない読み易さです。寧ろ私は、バルザックやオースティンの小説を導入の引合いにし、スミスの「国富論」当時の18世紀から今日までの資本主義経済の流れを、上記の切り口で語る優れた歴史書でもあると思います。格差社会が引き起こした2つの世界大戦やリーマンショック等を教訓に、著者はグローバルな「累進資本税」の導入を提唱しますが、果たして実現の可否は? 本書の最後に記される、「経済的透明性と資本の民主的コントロール」次第でしょうかね!2015/01/31
Koning
82
ということで何分本文で600ページ、註が100ページもある大作なんだけど山形訳のおかげかさくさく読めちゃう怖さ(笑)。r>gという不等式が成立してしまう限り貧富の差は拡大するということを丹念に集められたデータをもとに書き出すということで、読んでるとはーほーへーといいつつ納得させられまくる感じで(笑)。訳書も原著同様にオンライン資料集が和訳されてたりするのでその辺もよろしいかと。ページ数と内容の割にお値段は控えめ(此の手の本では)なので便乗本を読んで便乗した自称経済学者のトンチキを真に受けるよりは(続2015/09/10
skunk_c
79
『資本とイデオロギー』を読む前に(実際は並行して読んでいた)なんとか読了。根本的な部分は20世紀の2回の戦争の期間とその影響下にあった時期を除き、資本収益率が経済成長率を常に上回ってきたことを、制約の大きな経済指標から実証的に明らかにしたことだ。そこから得られる結論は、今後金持ちがますます金持ちになり、社会の経済格差が拡大するということで、コレを防ぐために累進的な資本課税をすべきとのこと。もちろん国際経済が魑魅魍魎なことは十分承知で、その難しさもあちこちから滲み出ているが、方向性を示す意義は十分だろう。2023/12/31