内容説明
「市民自治」という以上、市民が自分たちでできることは、まず自分たちの権限と責任で全部やっていく、これがスタートです。どうしても自分たち、民間でできないことは、税金を払って行政にやらせます。行政は、納税者であり主権者である市民の意思に基づいて仕事をしなければなりません。これは市民社会の原則です。まず国があって、国から都道府県におろし、都道府県が市町村におろす、さらに市町村が住民におろす、というような考え方とはベクトルを逆にする必要があります。国家から出発して社会をつくるのではなく、市民から出発して社会をつくっていくのです。
目次
序章 市民から出発する
1章 市民が行政をコントロールする(分権とは何か 主権者市民はいかにして行政をコントロールするか 市民の自治力)
2章 二元代表制における首長と議会(首長に求められるもの 議会に求められるもの 首長と議会は緊張関係にある 市民の自治体に「自治基本条例」は不可欠)
3章 市民の公共をつくる(公共を新しくする 民間と行政の連携)
終章 一人ひとりの想いから
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
17
ゴシ太本。市民自治とは、地域づくりの理念や方向性を市民自らが決め、市民自らの手で地域をつくっていくこと(表紙見返し及び12頁)。役場、市役所に丸投げではイカン。市民の想いから出発して、合意をつくり出す(19頁)。まちづくりの原点は、こうしたい、ありたい、という想いだと思う。市民への補助金の全体像を明らかにして、地域社会に最も有効な税金の使い方をみんなで考えていく(60頁)。大事だな。 2014/10/24
大先生
12
元我孫子市長としての実績や経験を交えながら、著者の政治哲学・基本理念(=市民自治)を説明した本です。【「市民自治」とは、地域づくりの理念や方向性を市民自らが決め、市民自らの手で地域をつくっていくということ。その実現のためには、市長や議会の努力が必要なことは当然で、市民の側も、ただ行政サービスを受けるだけの消費者や、ただ税金を払うだけの納税者としてではなく、主権者市民として市政に参加・監視していく必要がある】と。2023/01/01
takeapple
7
市民自治ということがやっぱり大切で、そのために中学校社会科が担う役割は大きいと自覚。2014/12/22
ヨムヒト
6
千葉県我孫子市の元市長福嶋氏の本書は、二元代表制の原理原則に則った政治、行政とは何かを12年間の首長業務を踏まえて整理したもの。極めて有益な良書である。タイトルは市民自治。地方政治とは、首長、議会、市民の三者がそれぞれを牽制し緊張感をもつ必要がある。市民は議会に委譲する間接民主主義に加え、直接参加の直接民主主義も含まれているが、市民を巻き込むということが少ない。福嶋市長は既得権益の解消として、既存の補助金事業の撤廃を行なった。市民による委員会を経て仕分けを行なった。行政や議会とだけの議論では結論が出ない。2024/04/11
Yasushi I
5
我孫子市長であった著者が、自ら実践してきた市民と直接繋がる行政を提言したもの。本来市民の代弁者、代表である議会と市民の関係が希薄なことは正しくその通りと思う。できるだけ市民に直接決めてもらう。民意の反映は重要だか、市民が受け入れ辛いことも徹底的に議論、説明する。行政とのコミュニケーションがどうあるべきか考えさせられた。2018/07/11
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