内容説明
元禄十五年、南北に次ぐ第三の町奉行所として新設された中町奉行所。初代奉行は長崎奉行から転任した丹羽長守。その内与力として新任された男こそ、嘗て「かみそり」と恐れられた元火盗改の一峰右近だった。江戸と長崎、二つの仇討ち事件の裏に蠢く闇に挑む!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひかつば@呑ん読会堪能中
6
忠臣蔵で有名な元禄15年から10数年設置された中町奉行所の内与力が主役の話。初代の奉行が長崎奉行だったころの因縁に時の側用人柳沢吉保と大がかりな火付けが絡むストーリィは、荒っぽいところもあるけど、主人公の出自も含めてぎっちりと詰め込んでおり、終わり方もなかなか綺麗な骨太の話だった。初の作者だったがチト探してみよう。 2013/09/23
えるまぁ
1
素晴らしかった。元禄15年から僅か10年程しか設置されなかった中町奉行所を舞台に赤穂浪士討ち入りを絡め、新興故の寄せ集め同心内での確執、北町奉行所や盗賊改方との手柄争い、思わぬ過去の因縁の生かし方、ガンとして口を割らぬ犯人が語りだすまでの話し運び(それでも作中で動機は語らない)。この頁数でここまで盛り込んで読ませる手腕はお見事。会話に時折明治以降の言葉が入るのと、謎解きの手掛かりの一つが唐突だったのが残念な他は殆ど文句なし、捕り物系はかくあるべし。2014/11/01