小学館文庫<br> 国家と犯罪

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小学館文庫
国家と犯罪

  • 著者名:船戸与一【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 小学館(2013/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784094043211

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内容説明

冒険小説の雄が世界の辺境を歩いた傑作ルポ

「わたしは比較的辺境を旅することが多いが、ときどき眩暈を覚えるような光景に出くわすことがある。そこでは人間があまりにも簡単に殺されるのだ……。
 国家に対する犯罪。
 国家による犯罪。
 本書はその二つの相関についてのささやかな旅の報告である(「序にかえて」より)
 キューバ、メキシコ、中国、クルディスタン、イタリア…世界の辺境では、いま何が起きているか?
 『山猫の夏』『砂のクロニクル』など傑作冒険小説を描き続ける作家が世に問うた巨弾ルポルタージュ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

114
出版された1997年辺りに、世界で何が起きているのか書かれたものなので、この後の20数年間の事を付け加える補講があれば更なるダイナミズムが…と無茶な思いがよぎる。キューバには、どちらにも男気を感じた。メキシコに関しては、中南米の闇は深く、捉えられないおそろしさ。日本から近いだけに、中国の圧政の下で苦しむ人達のことは、本当に気にかかる。天安門は中心が学生であったが、あちこちで起こった農民の蜂起はただならぬ火種であったろう。その後の中国の発展と彼らの暮らしはリンクしたのだろうか。そして、ウイグルとクルド。2020/10/04

姉勤

23
1995年。阪神大震災とオウムによるテロに揺れ動いた日本。その頃の世界、しかもニュースバリューにおいて無価値とされた少数民族の生存をかけた闘争と抵抗。国家に対する反逆、国家による虐殺。それは、しばしば立場を変えて「犯罪」と呼ばれる。キューバ、メキシコ、ウイグル、チベット、内モンゴル、クルド、南イタリア各地における民族紛争や抑圧。各章で大作が記せるほどの濃密なルポルタージュ。無知を恥じる以前に恐れ入るとしか言えない人類の狂気と矜持。結果は常に流血である。それは当然、現在とも地続きでないものはない。再読必至。2020/09/17

Katsuto Yoshinaga

15
再読。「流沙の塔」読了後、新彊ウイグル自治区問題の本質を再確認。「(なぜ、我々が漢人を殺すのか)理由は簡単だ、その何十倍ものウイグル人が漢人に殺されているからだ」と、ウイグル人の若者は著者に語った、1997年以前に。ウイグル人への弾圧は、2014年に習近平の間近で行われたテロの20年以上前に始まっている。そして、内モンゴル自治区、チベット自治区でも同様に。また、ソ連邦の崩壊に自治区への弾圧が始まったわけではなく、それ以前より始まっていた。ダライ・ラマ法王は1959年に脱出したのだから。(コメに続く)2021/12/08

すぎえ

10
船戸与一氏の国家の政治的、人種的なしわ寄せが世界でどう形作られているかのルポ。キューバ革命や中国の自治区問題、トルコやイラク地域のクルド人問題などちょっとかじったことがあるところはなんとなくわかった。入門書みたいにスキーム(構造)の概略がなくて、諸問題の核心にかかわる当事者からストーリーを構築しているので事前に多少知っていないところはぜんぜんついていけなかった。筋の入った見方と物語の構築が独特。いつも厚くて敬遠してるのだけれど、予備知識がちょっとある著者の作品を一度読んでみたい。2010/02/15

ハイちん

8
紛争地域での取材旅行を書き起こしたノンフィクションである。どうせ読んでも理解できねえだろうなあ。と思い長いこと積んでいた本。読んでみたが、案の定理解できなかった。自分がいかに世界情勢に無関心かを思い知った。内容はよくわからなかったが、文章がとても魅力的。乾いた文章の荒野に硝煙と血の臭いが香り立つようだった。2015/01/15

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