目次
第1部 パウル・ティリッヒに捧ぐ(パウル・ティリッヒがアメリカに与えた衝撃;パウル・ティリッヒの豊かさの源泉;パウル・ティリッヒと宗教史)
第2部 パウル・ティリッヒによる論文(宇宙探検が人間の条件と態様に対して与えた影響;未知の世界;進歩の理念の衰退と妥当性;組織神学者にとっての宗教史の意義)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
ブラウアー、パウク、エリアーデの献辞からなる第一部に、著者最晩年の1960年代の4つの講演を加えた本書は、宗教と実存の関係が最先端技術によって変貌していくだろう未来がテーマである。宇宙探検による大地の脱神秘化は大地を地球として対象化し、モノや資源として扱う習慣を定着させる。すると環境破壊は加速し、人類は自らの生存を自らによって脅かす、と予想する。著者は、その際宗教は人々に超えられない境界(有限性を画す永遠)を示すことが責務となるとする一方、宗教自身は個別的な境界を超えて地球大の危機に連携すべきだ、と説く。2021/10/01