内容説明
久女の作品を中心に病跡からその実像に迫る。精神科の専門医である著者は、自験症例と対比しながら作品を分析し、久女を貶めんがために貼られた「精神分裂病」のレッテルを剥ぎとり、「慢性甲状腺炎」であったとの診断を下した。久女への限りない共感とともに、ことさらに「奇矯な振る舞い」を強調し続けた虚子・清張・信子らの企図を暴き、その罪深さを糾弾する。
目次
1 高浜虚子作為的な資料操作による久女像―「国子の手紙」をめぐって(手紙その一について;蘇峰あての久女の手紙 ほか)
2 松本清張剽窃の切り貼りによる久女像―芥川賞受賞第一作「菊枕―ぬい女略歴」(「菊枕―ぬい女略歴」は久女伝ではないのか;浩山人「久女とその俳句」との比較 ほか)
3 吉屋信子底意ある創作による久女像―「私の見なかった人」は伝記小説と言えるのか(「呪ふ人は…」の句の呼びかけ;『玉藻』創刊時の久女の態度 ほか)
4 久女は精神分裂病ではなく慢性甲状腺炎だった(慢性甲状腺炎(橋本病)とは
自験五〇症例をもとに「久女作品」をみる ほか)




