内容説明
アフリカ・マラウイのクイーンエリザベス中央病院。僕はそこの小児病棟で「passed away(亡くなる)」という言葉を数え切れないくらい耳にし、カルテの中に見た。そして「Rest in peace(安らかに眠りたまえ)」という言葉でカルテは結ばれるのだった―。著者はアフリカの最貧国で2年間子どもを診療し、アジアの最貧国で「ポリオ根絶」という世界的プロジェクトに携わった。先進国や国連がかかげる「国際援助」「貧困削減」というスローガンは美しい。だが、本当に貧しい人々にその善意は届いているのだろうか。最前線の現場にいた医師ならではの、貴重なレポート。
目次
第1章 小児科研修医、二年目の秋
第2章 青年海外協力隊へ
第3章 アフリカの最貧国、マラウイ
第4章 地獄の小児病棟
第5章 難民景気
第6章 絶望の果てにあるもの
第7章 アジアの最貧国、ラオス
第8章 ポリオ根絶活動
第9章 国際協力の光と影
著者等紹介
黒岩宙司[クロイワチュウシ]
1957年佐賀県生まれ。福岡大学医学部を卒業。大学病院の小児科研修医を経て、別府の国立病院で小児科医師を勤める。その後、青年海外協力隊に応募して89年から2年間、アフリカのマラウイ共和国で小児科医として勤務。帰国してからは、国際保健計画の専門家としての道を歩むことになる。94年からWHOやユニセフと協力してラオスでのポリオ根絶事業に参画し、西太平洋地域での2000年ポリオ根絶宣言という成果を生んだ。2002年から東京大学准教授として、学生に国際保健計画の実情を教えている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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