内容説明
男は隅田川沿いに住み、すべて0円で暮らしていた。その方法は誰も実行しなかったことであり、東京でしかできないやり方だった。そしてそれは、東京に住む人間たちがすっかり忘れてしまっていたことだった。実在の人物をモデルに建築探検家・坂口恭平が描いた、自らの意志と器量、そして『発明』で生きる男の物語。
著者等紹介
坂口恭平[サカグチキョウヘイ]
1978年熊本県生まれ。2001年早稲田大学理工学部建築学科卒業。大学在学中から、大規模な現代建築を設計する建築家に疑問を持ち、人が本来生きるための建築は何かを模索し続けている。主な肩書は、建築探検家、アーティストだが、ほかにも絵描き、コラムニスト、ミュージシャンの顔をもつ。「隅田川のエジソン」は、著者初の小説である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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detu
26
読んでいたら楽しそうな暮らしだ。路上生活。しがらみの無い生き方は理想的でもある。保証も保険もない知恵と勇気の独立独歩。それにしても妙にリアルな描写、体験談みたいに思えるが、著者は以外と若い。設定は2000年頃、現在の東京でも可能なのだろか?まあ、ホームレスはいるだろうがね。失業し家がなくなってもある程度自信もてるかも。2020/09/14
ぶんこ
13
ホームレスが主人公の、面白い小説でした。 清潔と礼儀を生活の基本にしていて、一部だらしない面はあるものの、好感を持ちました。 創意工夫と正直がスーさんの基本で、天晴れ! 周囲の公務員が優しいのに驚きでした。 隅田川沿いに住んでいますが、この近辺では見かけないです。2014/02/17
コダマ
6
酔っ払って気づいてみたら財布がない、そんな時に親切にしてくれたホームレスの生活に魅力を感じて自分もホームレスになっちゃおうというお話。 江戸っ子調です。てやんでい!2013/04/13
タックン
6
モデルとなるホームレスの方を元に小説を書かれた本です。今の時代、あってあたりまえのことや、出来ないと思われる、いや、そんなことさえ考えてないことを、あっけなく実行して生活しているこの方々の生き方には感銘さえおぼえました。「あれがないから、出来ない。」ではなく、「今の生活の中でどうしたら出来るだろうか。」を常に考えて生きることの大切さを考えさせられました。フィクションではありますが、頭を柔らかくするには絶好の本だと思います。出来る人が出来ることをして組織が成り立っている、その人々を敬う気持ちも生まれている。2012/09/22
yk
5
著者の前作がおもしろくてこちらも読まました。取材された方たちがお話に出てきて、なんだか不思議な気持ちになりました。ほんと家ってなんなんだろうとか、生活するってなんなんだろうとか、いろいろ考えちゃいます。そもそも路上生活者は税金払ってないからとか水道だってタダで使ってるとか、ちょっとそういうのはおいといて、こういう生き方もあるととらえておもしろいと思いました。政治家が使う金に比べたら安いもんだと思いますしね。2018/08/06