内容説明
「山田宏一の日本映画誌」全面改稿!巨匠からプログラム・ピクチャーまで、寅さんからロマンポルノまで、ドキュメンタリーから自主映画まで、日本映画の面白さをとことん語った、映画評論家・山田宏一の日本映画論集成。
目次
第1章 一スジ、二ヌケ、三ドウサ(伊丹万作 傑作か、駄作か―『赤西蛎太』『國士無双』;稲垣浩 鳴滝組と『宮本武蔵』;山中貞雄(『丹下左膳餘話 百萬兩の壼』;『河内山宗俊』;山中貞雄の死と鳴滝組の解散)
前進座の限りなき前進―時代劇映画の革新に向かって
熊谷久虎 死をめぐる悲壮劇―『阿部一族』 ほか)
第2章 完全主義と間に合わせ(パリ通信1965;プログラム・ピクチャー1971 にっぽんB級映画試論)
著者等紹介
山田宏一[ヤマダコウイチ]
1938年、ジャカルタ生まれ。映画評論家。東京外国語大学フランス語科卒。1964~1967年パリ在住、その間「カイエ・デュ・シネマ」誌同人。著書に「トリュフォー ある映画的人生」(第1回Bunkamuraドゥマゴ文学賞、平凡社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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コットン
56
山田宏一さんがカイエ・デュ・シネマやキネマ旬報で書いた日本映画紹介。ラストシ―ンが好きな映画『人情紙風船』は札束がむなしく散るフランス映画『ミモザ館』からヒントを得たものだったり、『去年マリエンバ―ドで』がクロサワの『羅生門』を下敷にして書かれたとか、色々な面白話が書かれています。2017/05/05
かふ
6
最初に映画の心得として「1スジ、2ヌケ、3ドウサ」とあるが、最近の日本映画は1のスジ(脚本)がいまいちなのが多いような。山中貞雄監督の『丹下左膳余話 百万両の壺』がスピルバーグの『レイダーズ 失われたアーク』と比較して述べられたり。2のヌケ(映像)とかはカメラも優れていい絵とか多いけど。雨のシーンによる名作の数々(成瀬の雨と黒澤の雨のカット)。ドウサは役者の演技で小津映画の枠からはみ出る鴈治郎と書いているのが面白い。2016/01/12
Gen Kato
2
戦前時代劇から小津黒澤成瀬溝口の巨匠作まで、多様な評論が読めて楽しかった。またそれぞれの映画が観返したくなる。2017/11/17
Zen-zen
2
素晴らしい書物。「映画の出だしはいいがラストは腰くだけであるとか、シナリオはいいが演出がだめだとか、あるいはもっときちんと長所と短所を指摘した作品を分析するとか、そういうアプローチこそ明晰な論理であるとみなされてはいるのだが、そんなロジックは単なるバランスの計算でしかない。愛とはまったく無関係なのである。生きた人間を相手にバランスを計算してみるときは、最もいいかげんに付き合う場合だ。まじめに付き合う場合は、バランスなど考えもしないだろう。その人間を全的に認め、全的に信頼し、2015/10/30
もな
0
本当にいい映画評論は「読んだだけで満足するのではなく、そこに取り上げられている映画を観に行きたくなるような文章」と読んだ記憶がある。異論はないけど、あとどのくらい自由になる時間があるかわからないし、もし観たとしても絶対に山田宏一の文章を読んだ時のように興奮できないと思うと、実際に収録作を見る事はほとんどない。
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