目次
1 日本景
2 マクデブルクの館
3 介護
4 襞
5 ゴルディアスの結び目
6 百人斬首
7 発熱
8 歴史
9 うるはしき日々
著者等紹介
関悦史[セキエツシ]
1969年9月21日茨城県土浦市生まれ。二松學舎大学文学部国文学科卒業。吉岡実の散文で赤黄男、耕衣、重信を知り、数年後、二十代半ばより、病中の気散じに句作開始。2002年「マクデブルクの館」百句で、第一回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞受賞。2008年「全体と全体以外―安井浩司的膠着について」で第二十八回現代俳句評論賞佳作。2009年「天使としての空間―田中裕明的媒介性について」で、第十一回俳句界評論賞受賞。「他界のない供儀―三橋鷹女的迷宮について」で、第二十九回現代俳句表論賞佳作。「俳句空間―豈」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiha
26
「ヘルパーと風呂より祖母を引き抜くなり」「祖母がベッドに這い上がらんともがき深夜」「祖母下痢し洗濯中つぎの便にまみる」と介護されていた祖母との暮らしが見えてくる。「夜々枯蔓の病院をふりむきては帰る」は、入院させた祖母への思いが伝わる。また、3.11の経験は、「縦横に罅入る家やなめくじり」「青蔦を剥げばこの家崩れ落ちむ」「テレビ見る彼ら・地揺らぐわれら原発燃ゆ」「激震中ラジオが「明日は暖か」と」詠む。タイトルの「六十億…」は原発の燃料棒か?と思っていたら世界人口だった。「人類に空爆のある雑煮かな」2017/03/27
Cell 44
3
「ポテトチップの空き袋氷り泥の中」「抱へて祖母の遺骨燥ぎつつバス待つ春」「エロイエロイレマサバクタニと冷蔵庫に書かれ」「鏡餅は人撲ち終へし天女のさま」「テラベクレルの霾る我が家の瓦礫を食へ」「日本景」や「介護」、「うるはしき日々」における現実の諸相を生々しく抉りとる句群と、「マグデブルクの館」や「襞」「ゴルディアスの結び目」「百人斬首」「発熱」「歴史」の様々な引用、独特のコンテクスト(ミステリ、和歌、SFなど)における句群。現実や他の文学の速度に対して俳句がすかさず反応できるという一証左なのではないか。2016/01/26
たつのすけ
0
◎2020/11/27