内容説明
「おれは先生なんだぞ。おまえを教育するんだぞ」と、えらそうなことばかりいう先生と、目をつぶり、「だって だって」といいながら、そこから逃げられない生徒たち。賢治が放った強烈な皮肉と衝撃の結末にこめられた一筋縄ではいかないメッセージ。
著者等紹介
吉田尚令[ヨシダヒサノリ]
1971年、大阪府生まれ。『希望の牧場』(作・森絵都/岩崎書店)で、2016年度のIBBYオナーリストイラストレーション部門に選出され、JBBY賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
88
絵本。とても嫌な感じ…皮肉か風刺が効いている。自称「先生」な鳥箱は威張り散らし、生徒を否定し続ける。フゥねずみはそんな先生から逃れられない。バットエンド。▽展示会で立ち読み。どぎつい終わり方なので子供は衝撃を受けるかも。2021/07/27
とよぽん
47
宮沢賢治のこの作品は、まだ読んだことがなかった。鳥箱先生は何の象徴なのか? 「国家の前途が思いやられる」とは・・・アイロニーに満ちた物語だと思った。絵は吉田尚令さんだが、以前読んだ絵本で感じた吉田さんの画風とは異なる印象を受けた。2021/12/14
ヒラP@ehon.gohon
30
猫ににらみつけられた教室、破壊されていく新国立競技場とスカイツリー、宮沢賢治の童話を現代にまで持ってきた吉田尚令さんの絵の力業に、はたと気がつきました。 この童話は、教育批判なのです。 生徒を無駄死にさせ駄目にする教育機関、向上心を持たない生徒たち、宮沢賢治らしからぬ話の持っていきように、疑問を感じていただけに、かつを入れられた気がします。 それにしても、自分を正当化して、先生面しているただの鳥箱を私は嫌いです。2021/01/17
おはなし会 芽ぶっく
19
ミキハウスさんは宮沢賢治をシリーズで刊行してくれますね。読みやすい文章と、それぞれの絵本作家さんの絵もマッチしていると思います。こちらのおはなしは『宮沢賢治童話全集』 https://bookmeter.com/books/11151287 で読んでいるはずですが、全く記憶がなく新鮮に読めました。鳥箱先生の威張り方や態度、その時代は当たり前だったのでしょうね。今では考えられないくらいの横柄さです。猫大将の存在とラストが、人間社会に対してのメッセージと受け取りました。2020/11/30
マツユキ
17
吉田尚令さんの絵で、宮沢賢治。 自分が先生だと気がついた鳥箱と、生徒たち。絵に迫力があり、最初から怖いんですが、最後が、また…。自分は、どこにいる?最後のページは可愛いのに。2020/11/27