内容説明
人間の死は「死ねば死にきり」でよいという著者が、個人の死から、国家、教育、家族、文学の死までを根源的に考察した魂の一書。
目次
死について(「死」をどうとらえるか;「死」を定義できるか)
国家について
教育について
家族について
文学について
わが回想(「死」から「生」へ;「60年安保」から「現在」まで)
最後に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うりぼう
37
ずっと積読状態の本でしたが、この機会に手に取った。本人が遺書を書く気がないと言っているので、内容も、残された者への思いではなく、人生の振り返り。人生の最大の成果を子どもを育てたことと言い、2人の娘さんは本当に自慢なのだろう。「ぼくらの時代」に出て欲しいものだ。15年も前に書かれた本だが、資本主義の終焉が語られ、階層的ヒエラルキーの時代から次はどこへいくのか?インテリであるほど、戦前、戦後の転向は大きな傷を残し、それが精算されない日本の思想界にうんざりしている。でも、矛盾を抱え続ける力がエネルギーなのかも。2012/05/08
Costa まさ
5
吉本氏の晩年には口述筆記から多くの書籍化がなされているが、その内の一冊。タイトルは内容とは無関係。吉本氏が度々引き合いに出す高村光太郎の詩の中の「死ねば死にきり 自然は水際立っている」という一節は本作でも引用有り。Ⅰ・Ⅱ死について、Ⅵ文学について、の章が特に面白かった。読後は一人で微笑んでしまったが、それは本の内容からではなくて吉本氏の人柄が僕に引き起こした感情だろうと思う。カチコチに堅いけど底無しに善い人だなぁって思ってしまう。2018/09/07
4545
1
「遺書」言えば、松本人志だろうに。何も同じタイトルでなくても。「海で溺れて意識不明になったんだから死んだも同じだ」と角川春樹にそそのかされて書いた本だそうだ。 最初から「死について」で、小難しいことを書いていて上手く飲み込めなかった。普通の死に向かって書かれる遺書とは違うようだ。各章で色々な事柄について書いているのだが、半分も分からなかったと思う。ただ、各章の後ろにある解説が、結構為になった。2003/09/06
amabarashi
0
最近、子育て関連で目にすることが多い吉本隆明のことば。とりあえず読んでおかないとと手に取る。わかりやすいエッセイ。小学生低学年くらいまでのこどもは苦手というのが印象的。2016/09/04