内容説明
体制危機のなか対米交渉に臨む北朝鮮。南北共存のため米国から距離をとる韓国。韓流ブームの中、北とは国交すらない日本。対米従属を続ける日本をよそに、変化する朝鮮半島。日本のメディアでは捉えられない、この変化が持つ意味とは何か。国家のはざまに生きる「在日」の立場から、隣国間の不毛な対立に終止符を打つ。
目次
プロローグ 日韓・日朝のはざまで
朝鮮半島を見る眼―歴史的視座から見た日韓・日朝関係
第1部 韓国を見る眼(日本文化の解禁は新しい日韓関係を切り開くか;金大中大統領の構造改革、その光と影;南北首脳会談の衝撃;南北経済交流への期待と不安 ほか)
第2部 北朝鮮を見る眼(北朝鮮はそれほど危険な国なのか;朝鮮半島をめぐる東アジア情勢の行方(対談・朱建栄)
日朝関係に影落とす不審船事件と拉致問題
北朝鮮はどこに行くのか(対談・趙明哲) ほか)
著者等紹介
朴一[パクイル]
在日韓国人3世。兵庫県生まれ。同志社大学卒業。同大学院博士課程修了。商学博士。専攻は東アジア経済論、日韓・日朝関係論。大阪市立大学大学院経済学研究科教授。1997年、高麗大学客員教授としてソウルに留学。テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活躍。在日3世の立場から日韓・日朝関係や在日コリアンの人権問題について積極的に提言している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
6
朴一がおもに90年代後半〜00年代前半の『論座』に発表した文章をまとめたもの。前編が韓国、後半が北朝鮮。刊行年が2005年11月、北朝鮮の核問題をめぐる4回目の六者協議のあと。当時の記憶をたどると、やはり日本側としては北朝鮮の拉致問題の方が気になる出来事であったと思う。歴史認識問題も中国がメインという感じだったし、また「在日朝鮮人」が焦点だった感じだし/韓国のあれこれが、北朝鮮のそれに似てゆく様は感じられた。どのみち「親日派」→親米派の清算は始まったばかりだ。どうなるか不明2019/02/17
るりさん
0
偏った見方でない。例えば序章でも日本による植民地化の影響について量的な比較を行い、罪の部分だけでなく、功の部分も取り上げていて、好印象。功の部分が叫ばれない韓国人の心理的背景についても述べるなど、捉えづらい事柄についてわかりやすく解説してくれている。2014/11/20