内容説明
ロシア文学史上、リアリズムの成立に深く関わり、自然描写の転換をもたらしたツルゲーネフの『猟人日記』が、二葉亭四迷と嵯峨の屋おむろの翻訳を通して国木田独歩、田山花袋、島崎藤村ら自然主義作家たちの情景描写に与えた影響をはじめ、この高名な短篇集、とりわけ集中の一篇「あいびき」が日本近代文学の発展に果たした役割を詳細に解明する。
目次
第1章 十九世紀ロシア文学の中の『猟人日記』
第2章 二葉亭四迷と嵯峨の屋おむろ
第3章 二葉亭四迷とツルゲーネフ
第4章 嵯峨の屋おむろとツルゲーネフ
第5章 二葉亭と嵯峨の屋が残した影響―自然主義作家と『猟人日記』
終章 日本近代文学と『猟人日記』