内容説明
私の大好きな赤いプリンス空を飛ぶ。パリ在住の「ば化粧師」の著者が10歳の記憶を書き留めた小説。練習機「赤とんぼ」は少女のロマンをのせて大空に…。しかし、原爆が落とされ戦争は終わった。そのとき桂子は…。
著者等紹介
クルック,レイコ[クルック,レイコ]
西岡麗子。1935年長崎県諌早市に生まれる。1955年NBCラジオ長崎に入社。1958年テレビ開局と同時にNBC長崎放送CM室に移籍しコマーシャル制作に携わる。その後M.クルックと結婚、1971年にパリ市に移住する。フランスの大手化粧品会社の商品企画開発アドバイザーを務めながら、映画、演劇界のライセンスを取得する。パリにアトリエ“METAMORPHOSEメタモルフォーズ”を立ちあげ、当時未開発だった「特殊メーキャップ」の分野を独自に開発、パイオニアとよばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かおりんご
35
児童書になるのかな?ページ数のわりには、さっくりと読める。著者の実体験をベースに、赤とんぼの話を中心として、長崎に落とされた原爆のことや、終戦の年の話をまとめている。10歳の少女の視点なので、深い話はないけれど、子どもたちが読むならこれくらいが分かりやすいと思う。ただ、10歳の子が読むには、用語の説明や読み仮名が少なすぎる。2015/06/26
roatsu
9
ようやく購入できて読了。簡潔だけれども情景がありありと目にうかぶ力強い文体と、あたたかく歯切れのよい諫早弁がとても印象深い物語。桂子の憧れとして若き訓練生達を乗せて空を駆けるも、敗戦の混乱で一転する赤とんぼ(海軍の九三式中練)の運命が敗戦によって一変させられる日本を象徴しているようで痛ましい。また原爆の地獄絵はやはり涙無しに読めず、独特の文体と相まって残忍さと恐怖をありありと伝えていると感じた。これからも繰り返し読まれてほしい一冊と思った。2015/06/10
ちた
1
読む前は「やわらかな絵本のような」物語かと思っていたのですが、始めの話で完全に度肝を抜かれます。この話は桂子が直に感じた戦中戦後の話を美しくかつ憂いも感じさせ、子供がもつ素直で正直な視点から捉えた匂いのする壮大なドキュメントなのです。フリガナがついた文章で物語が進むので、それをそのままインプットして読み出すと驚きます。美的な文章とリアリティが融合することによって、悲しみと世界が変わっていく恐怖感がジワジワとココロに染み入ります。赤とんぼ。まさに宵前の夕焼けに舞う儚さを感じるお話です。ぜひ読んでください。2013/08/22
kiwipop
0
タイトルの「赤とんぼ」は第二次世界大戦中、日本で使用された戦闘機。特攻隊に選ばれた青年の話や原爆で被曝した従姉妹の話など衝撃が強くて一気に読んでしまった。2014/11/03
aqua9209
0
1ヶ月程前に文藝春秋の書評で知り読みました。最初はなんとなく読み始めましたが、気がつけば読み終えていました!! 文章が非常にいいです。今までに出会ったことがない文章です。「包まれるような」感じでしょうか、上手く形容できませんが。淡々と長崎市近郊に住む10歳の少女の目から見た昭和20年8月15日前後がつづられています。大きな夏みかんの木の枝に腰掛け足をゆらゆらさせながら読んでいる気分ですかねぇ、、、、著者自らによるイラストもいいです。2013/10/11




