感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Oke
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河鍋暁斎を主人公にした小説。暁斎の絵は、躍動感にあふれている。その物を見なくても描けるほどに観察する訓練を幼い頃から重ね、筆を握れば一気に書き上げる。また、国芳と狩野派に入門し修行したので、浮世絵も、正統派の日本画もお手のもの。幕末から明治にかけての人気絵師だった。そんな暁斎の妖怪画がまるで見てきたかのように描かれていることから、見えたのではないかというのが本書が書かれた出発点。暁斎と妖怪たちのコミカルなやり取りとは対称に、消え行く江戸が切なかった。2015/08/17
あき
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幕末の天才絵師・河鍋暁斎と妖怪との交流を通して描かれる消えゆく江戸と妖怪の物語。失われていく江戸が、おもしろうてやがて悲しき……って感じで切ない。電子書籍の書き下ろし短編は編集の手が入ってないようで、漢字や三点リーダーの使い方がちょっと気になる。内容的にも本編にないエピソードかな?ってのがあってなんかモヤモヤ。続編の構想があるそうなので、それ絡みなのだろうか。続編出るなら絶対読みたい!佐藤雅美「半次捕物控 天才絵師と幻の生首」の子供が生首を拾って写生するってのは、暁斎が9歳の時の逸話が元ネタ。2021/04/06