内容説明
本書は日本社会での、人文科学がどう成立し、あるいは発展し、そして現在どのようにその変容期を迎えつつあるかについて考察したものである。
目次
1章 国文学の誕生
2章 国文学の思想
3章 国語学史的成立:4章 言語学と文学研究
5章 “恋歌”源氏
6章 西郷信綱論
7章 物語に語り手がいなければならない理由
8章 口承文学と文学史
9章 王権論の集団責任と個人の責任
10章 教科書、戦争、表現
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
49
アイヌ文学と国文学の関係を確認しようとめくったら、刺激的な論考が並んでいたので読み通してしまった。著者は源氏物語研究を軸とする国文学者だが、詩集を何冊も出している上、湾岸戦争論など社会的発言も多く現代思想にも目配があり、国文学者の域を大きくはみ出している。古文の苦手な私ではあるが、気になる存在だ。アイヌ文学との関係では、著者編纂の古典教科書にユーカラを入れたら、「日本の古典」でないという理由で検定不合格にされたのに対する怒りを起点に、国民国家における国文学が"御用学"に至る運命を跡づけており刺激的。 2015/05/09
うえ
7
雑誌掲載された論文集。「折口がその「大嘗祭の本義」で、これだけは述べていないことなのに、あとの学者が折口説の延長であるかのように位置づけてしまったらしい学説として聖婚儀礼説なるものがある。岡田…精司氏の『古代王権の祭祀と神話』を見ると、この衾は「釆女との、神婚が行われた衾の遺物」とある。…「一切訣らぬものにされて居る」としたうえでのそんな推定は、是も非も後進のわれわれの拠るすべのない"思想"でしかない。まして大嘗祭のなかで釆女がベッドに横たわり"神婚"を演出をするとは、折口の考えおよびもしなかったことだ」2021/12/09
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