内容説明
随筆。短編小説。植物学こぼれ話。うつろう季節に花を味わうアンソロジー花の歳時記。
目次
福寿草など(巻頭詩)(高橋元吉)
正月の花(飯田龍太)
思ひ出す事など三十三(夏目漱石)
松竹梅の話(新村出)
門松のはなし(折口信夫)
植物歳時記〔一月〕(本田正次)
一月一日(永井荷風)
ふきのとう(大原富枝)
福寿草(草野心平)
フクジュソウ(岩槻邦男)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チャーリブ
21
「十二月の花」に引き続き。30人以上の錚々たる文筆家(研究者も)の花に関する随筆が並んでいるが、ひとり異彩を放っていたのが永井荷風の「一月一日」という短編(随筆ではなく小説)。アメリカのとある銀行の頭取の社宅、日本人を集めて新年会が行われている。参加者はみな日頃食べられない日本の酒や料理に舌鼓を打っている。こういう席に絶対に顔を見せない金田という男のことが話題になる。聞けば金田は日本の酒や飯が大嫌いだというのだが、それはなぜか?花にはまったく関係のない話なのだが、やはり読ませますね、荷風先生。2022/01/17
竜王五代の人
2
確かに荷風先生のはこの中では異色である。小説みたいなもので、登場する植物も食べるお米や松の盆栽が名前程度。選択が奥深い。全体として言えば、文学であり、門松の由来みたいな文化的・歴史的な話はあっても、植物学的な話は少ない。なるほど、随筆である。2022/07/10