出版社内容情報
喧伝される外国人犯罪の増加。しかし本当に外国人犯罪は増えているのか? 外国人が増えると社会は凶悪化するのか? その実体を探るとともに外国人との共生の道を提示する。
はしがき……丹羽 雅雄
Part1 外国人が増えて本当に社会は凶悪化したか?
Chapter1 追いつめられる人たち……川上 園子(アムネスティ・インターナショナル日本)
Chapter2 検証・外国人犯罪増加……外国人差別ウォッチ・ネットワーク、ブックレット編集班
Part2 誰が言い出したのか? なぜ信じるのか?
Chapter1 「外国人犯罪」を取り上げるメディア……寺中 誠(アムネスティ・インターナショナル日本)
Chapter2 日本の治安を脅かす外国人犯罪の実態――実体のない影に怯える市民……浜井 浩一(龍谷大学法学部教授)
Chapter3 共生と排斥の社会心理……樋口 直人(徳島大学総合科学部講師)
Part3 日本の中の外国人
Chapter1 移住労働者を必要としている日本の現実……旗手 明(自由人権協会)
Chapter2 外国人労働者から見た日本……金子 由佳(日本カトリック難民移住移動者委員会-JCARM)
Chapter3 日本で留学生が暮らしづらいわけ……高野 文生(NPO法人 東京エイリアンアイズ)
Part4 共生主義宣言
Chapter1 「多文化・多民族のまち」大久保からの視点……山本 重幸(共住懇)
Chapter2 地域に住む人すべてでつく
21世紀の日本社会は、少子・高齢化に伴って人口減少化時代を迎える。政府機関や経済団体を中心に、この「人口減少化」に対応するため、もっぱら人口・労働政策の視点から、「移住労働者」のより積極的な受入れ基調の提言がなされ始めた。
他方、「不法入国した多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している。大きな災害が起きたときは騒擾事件すら想定される」との石原都知事発言や、「中国人かなと思ったら110番」などの警察防犯ビラの配布など、公人や公権力によって、あたかも外国人は犯罪者(予備軍)であるかのごとき人種差別を助長するイメージ流布が行われている。また、民間においても、外国人に対する入居・入店拒否や、ピョンヤンでの日朝首脳会談で拉致事件が明らかになってからの在日コリアンの子どもたちへの暴力や嫌がらせの多発など、草の根的な外国人嫌悪(ゼノフォビア)や差別排外主義の徴候が顕在化している。
このように、現在の日本社会は、多民族・多文化を有する移住労働者の受入れ基調と日本民族中心主義的な人種差別・排外主義が鋭く緊張し合っているといえる。
差別は、人間の尊厳に対する最大の冒涜である。2度にわたる世界大戦を経験した人類は、r> 日本とアジアそして世界に連なる人権の伸長と平和構築にとって、日本社会が「単一民族社会観」に立脚した出入国管理法や外国人登録法を骨格とする外国人管理法制から脱却し、違いを認め尊重し合う「多民族・多文化の共に生きる社会」を創造することは、緊要の課題である。そして、旧植民地出身者とその子孫に対する歴史的清算を果たし、同時に、外国人・民族的少数者の人権基本法と人種差別禁止法を骨格とする人権法制を確立し、さらに、人種差別と闘う人権教育を推進することが「共生社会創造」の基礎的条件とならなければならない。21世紀を「戦争と憎悪の時代」ではなく、「人権尊重の共生と平和な世紀」とするために。
丹羽 雅雄(弁護士)
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ハンギ
ぞだぐぁ
抹茶ケーキ