内容説明
「ことばができる」ことに価値があるという文化や社会的風潮に対し問いを投げかけ、社会全体で共有できる「わかりやすさ」の必要性を明らかにすることを通じて、知的障害のある人たちの多様な表現と共にあることのできる社会のあり方を考える!
目次
第1部 「わかりやすさ」の必要性を考える(知的障害のある人たちと「ことば」―情報伝達・コミュニケーションに意味づけられたものをめぐって;知的障害のある人たちと情報保障;知的障害のある人たちと「わかりやすい」情報提供)
第2部 「わかりやすさ」を作る・広げる(「わかりやすさ」を作る―「みんながわかる新聞『ステージ』」を例に;「わかりやすさ」を広げる―“やさしい日本語”との接点から;「わかりやすさ」の普及を目指して)
著者等紹介
打浪文子[ウチナミアヤコ]
奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程社会生活環境学専攻単位取得満期退学、博士(学術)。国立障害者リハビリテーションセンター研究所障害福祉研究部流動研究員、淑徳大学短期大学部こども学科講師を経て、淑徳大学短期大学部こども学科准教授。立命館大学衣笠総合研究機構生存学研究センター客員研究員。2016年5月より、一般社団法人スローコミュニケーション副代表(理事)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K(日和)
15
私は、とても強く「ことば」の可能性を信じている。抽象的な概念を表す言葉に触れて、自分の思想と親和するか/しないかを考えたり、自分の心的な動き(思考)を言語化することに楽しさや嬉しさを感じる。しかし、それを過剰に主張・推進することは、自分とは違う方法で思考する人の存在を想定せず、排除する方向の社会に加担し得る。自分にとって心地よく、楽しく、嬉しい活動が、誰かに苦しさをもたらしていないか、を考えたい。2022/07/24
いとう
4
”わたしたち”はコミュニケーションにおいて、多数派のことばという配慮を受けている側なのだろう。 ことば(の理解)という権力が、知的障害のある人たちを「ことばの理解が難しい人」とみなし、個人的な問題へと押し込めてしまう。 必要な視点は「言語的に弱い立場の人たちとしてきた社会と言語の在り方こそが問題であるという見方を変えること」(p68)だろう。これにより「知的障害のある人にわかりやすい形の情報保障」という『社会的な視点』を得ることができるようになるのかもしれない。2022/07/12
エボシペンギン
2
コミュニーケーションをする際の方法を、多数派の方法で規定してしまうことがどれほど世界を狭めてしまうのかと
優
1
まだ一章読んだだけだけれど、とても良い本。2022/03/15
ヤマニシ
1
「わたしたちは「言語」を彼らに押し付け、その言語運用を不思議がり、さらには彼らの行動を「記述」して読み解こうとしているのではないでしょうか。」(p117)2022/02/11