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少年犯罪厳罰化 私はこう考える

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  • サイズ 新書判/ページ数 248p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862481559
  • NDC分類 327.8
  • Cコード C0236

内容説明

厳罰化は少年犯罪を本当に抑止できるのか?犯罪被害者や遺族に対し、十分なケアを保障することにまったく異論はない。ただしそのことと、少年事件の「全体」を冷静に論じることとは別である。本書は、矯正や司法、教育、医療、福祉など、現場の第一線での豊富な実践の経験をもつ書き手が、昨今推し進められる厳罰化の是非にとどまらず、広い見地からの議論を提出しようとしたものである。加害少年は十年後、あるいは二十年後、必ず社会復帰する。そして私たちの隣人となる。どんな隣人となってくれることを私たちは願うか。それが本書の出発点である。

目次

第1章 「審判」―少年を裁くということ(少年司法の戻るところ;寝屋川事件と「改正」少年法;「中途半端に理性的」な人間と犯罪抑止力;逆送少年の刑事裁判について)
第2章 「処遇」―少年院と少年刑務所はどう違うのか(少年司法厳罰化の現実と矛盾;刑務所内処遇に、少年の更生・再犯防止効果はあるのか)
第3章 「更生」―立ち直るために必要なこと(どうすれば「非」を認めることができるのか;少年犯罪という鏡)
第4章 「教育と社会」―「少年」の変容、社会の変容(子どもと学校はどう変わったか;Universal Designed Educationとの両輪ではじめて意味のある少年法厳罰化;近代の終わり―少年法への遺制の混淆と新自由主義)

著者等紹介

佐藤幹夫[サトウミキオ]
1953年秋田県生まれ。國學院大学文学部卒業。フリージャーナリスト

山本譲司[ヤマモトジョウジ]
1962年北海道札幌市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。菅直人代議士の公設秘書、都議二期を経て、国政の場へ。衆議院議員二期目を迎えた2000年9月、秘書給与流用事件により東京地検特捜部に逮捕される。2001年6月、懲役一年六ヵ月の実刑判決を受け服役。2003年12月、獄中での生活を綴った手記『獄窓記』(ポプラ社)を出版。同書は第三回新潮ドキュメント賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ねお

12
2000年代の改正の是非を問う本書は、今般の改正議論の土台として読むべき一冊。少年院と少年刑務所の本質的な違いとして、前者では教官と少年は名前を知っている関係で少年を信頼・信用することが基本的な構えであるのに対し、後者では刑務官と受刑者は名前を知らない関係で、受刑者を信頼してはならない場所だとの分析は興味深い。重大非行の加害少年ほど、人との信頼関係を築く力を育てる「育て直し」が必要だ。少年司法は、少年を徹底して生身の人として扱い、その将来を構想し、それを科学的に検証する点に刑事裁判との根本的違いがある。 2020/11/06

やまやま

8
光市の事件から二十年となる。相変わらず少年犯罪に対し様々な価値観が並行して存在しているが、犯罪を犯した者については自己責任能力を若年まで問うようになりつつあるのかなと感じる。山本譲司氏の監獄内での生活は、初めて読ませてもらったが、知的・感情的に脳内の制御を欠いた人間が犯罪を犯して刑務所にいる事情のかなりのことが生物学的・脳科学的な問題ではないかと思え、これまでの環境論と教育による更生というモデルがなかなか適用できないのではとも感じた。本書では、誠実に更生の支援に努めている方々の像が浮かぶだけに、さて。2019/10/09

cochon_voyage

1
『人は未熟であるからこそ罪を犯す』。だから、少年犯罪には厳罰ではなく、ある種の育て直しを目指した教育、保護処分が適当。死刑を含めた処罰規定の強化と対象年齢の引き下げは、犯罪の抑止力にはなりえない。更生は社会の中で、さまざまな関係性を修復しつつなされていくものである。…確かにそう思う。ただ、やはり「関係性の修復」はそう簡単にできるとも思えず、まして臨界期を過ぎた「育て直し」など…。そして、一番大きな壁は「被害者感情」。2016/04/13

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