出版社内容情報
1930年代、ソウル近郊の村。少年ノマと、その友だちトルトリ、ヨンイ、そしてキドンイが繰り広げる日常の物語。貧しくも、心豊かな子ども時代。どこか懐かしい気持ちになる、大人のための童話集。
ノマはいたずら好きでやんちゃな五、六歳くらいの男の子だ。ノマは次々に遊びをみつけては仲間を引っぱっていく。おもちゃがなくてもボール紙を切り抜いて汽車や小犬を作り出す創意工夫のできる賢さもそなえている。大好きなお母さんのお使いをしたり、友だちが誘いに来てもがまんしてお手伝いをする優しい子でもある。
路地で遊ぶノマやトルトリやヨンイの家の暮らし向きはゴムの靴一つ新調するのも困難なほどで、それに比べるとキドンイの家は裕福で(…)それでも「ウサギと自動車」に見るように、いつしかキドンイも仲間に入っていっしょに遊ぶようになる。ひとりでに解決する子どもの世界に、読者はほっと心の温まる思いがするのではなかろうか。――「訳者解説」より
内容説明
1930年代、ソウルの路地裏。幼いノマと、その友だちトルトリ、ヨンイ、そしてキドンイが繰り広げる日常の物語。貧しくも、元気いっぱいの子ども時代。どこか懐かしい気持ちになる、大人のための童話集。
著者等紹介
玄徳[ヒョンドク]
1909年ソウル(当時の京城)生まれ。本名は玄敬允(ヒョン・ギョンユン)。1927年、『朝鮮日報』の読者公募に処女作の童話「月から落ちたウサギ」が当選。1932年、登壇作とされる童話「コムシン」が『東亜日報』新春文芸童話部門に佳作当選する。1938年には小説「草亀」が『朝鮮日報』新春文芸に当選して文壇へのデビュー作となった。解放以後は、「南朝鮮文学家同盟」の機関誌『文学』の編集兼発行人、同盟のソウル支部小説部委員長などを務めた。朝鮮戦争最中の1950年に三十八度線を越えて北側に渡る。その後10年間北朝鮮で創作活動を続けたが、小説集『収穫の日』(朝鮮文学芸術総同盟出版社、1962)刊行の記録を最後に消息が途絶えた
鄭玄雄[チョンヒョヌン]
1910年ソウル生まれ。若い頃から朝鮮美術展に西洋画を出品。1935年に東亜日報に入社、翌年朝鮮日報社に移る。以後雑誌と単行本を発行する出版部に勤務し『朝光』や『女性』、『少年中央』等の雑誌の表紙絵を描く。1938年から39年にかけて毎週のように日曜版『少年朝鮮日報』に発表された玄徳の童話の挿絵をすべて手がけている。装幀家・漫画家としても活躍。1950年、北朝鮮に渡り、残りの半生を送った。1976年に病没
新倉朗子[ニイクラアキコ]
1931年生まれ。東京大学大学院比較文学修士課程修了、東京家政大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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