「悪知恵」のすすめ―ラ・フォンテーヌの寓話に学ぶ処世訓

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  • サイズ B6判/ページ数 228p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784860294007
  • NDC分類 951
  • Cコード C0095

出版社内容情報

イソップ童話が、毒とエスプリに満ちた大人の寓話に?詩人ラ・フォンテーヌの「寓話」が教えるフランス的生き方の知恵を鹿島茂が語る

内容説明

「すべての道はローマに通ず」「火中の栗を拾う」などの名言を残したフランスの詩人、ラ・フォンテーヌがイソップ童話を題材にして書いた大人のための寓話集。

目次

無知な友より、賢明な敵のほうがまし
働いて自分だけ豊かになりたがる日本人
人とは微差に過剰反応するものである
騙し騙されは人生にとって絶対に回避できない
たとえ飢え死にしようとも、孤高に生きる
ライオンと闘うには民主主義ではダメ
ライオンの言う「おいしい話」を簡単に信じるな
最も強い者の理屈は、つねに最も正しい
小さな親切は、大きなお世話である
わが身の不幸は、ふりかからなければわからない〔ほか〕

著者等紹介

鹿島茂[カシマシゲル]
昭和24年、神奈川県生まれ。仏文学者。明治大学教授。東京大学大学院修了。専門は一九世紀のフランス文学。平成3年、『馬車が買いたい!』(白水社)でサントリー学芸賞、同8年、『子供より古書が大事と思いたい』(青土社)で講談社エッセイ賞、11年、『職業別パリ風俗』(白水社)で読売文学賞、16年、『成功する読書日記』(文藝春秋)で毎日書評賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

49
さすがフランス流処世訓。性悪説に立つ方がいざという時の備えになる。騙すなと説くよりも騙されるなと教える方が実があるのだ。本書は2013年の父のイチオシ本。薦められるままに買ったはいいが積んでいた。当時の政情を揶揄した記述が多いのでもっと早く読むべきであった。2016/06/14

ニッポニア

45
イソップ童話をフランス解釈で読む、ということでしょうか。日本人の感覚とは異なった展開が面白い。示唆に富む言葉の数々。以下メモ。無知な友より賢明な敵。東海林さだおのドーダ理論。人は差があまりに大きい時は無関心になるが、隣人との小さな差には神経質になる。最後にとるべいは丁半の両方に張っておく。性格の良くない人に何か与えると人は必ず後悔する。相手が小物であるほど、謙虚に振る舞うべし。ペテン師をペテンにかけるほど楽しいことはない。重大な危機が染まっても甘美なる歌声は決して邪魔にはならない。マネー総量は一定である。2022/12/24

Kouro-hou

27
鹿島先生が2009~13までの性悪説的イソップ、ラ・フォンテーヌの寓話集を時事ネタを絡めつつ紹介していた連載をまとめたもの。イソップとラ・フォンテーヌは同じ酸っぱい葡萄でも「どうせあの葡萄は酸っぱくてまずい。誰が食べてやるものか」と「あれはまだ青すぎる。下郎の食うものだ」くらいの違いがある。いわゆる上から目線の精神健康法であり、騙し騙されは人生で不可避。大火傷するくらいなら悔しい思いくらいで済ませばいい。人に虚栄心がある限り、大なり小なりおべんちゃらに引っかかる。むしろペテン師を騙すの最高!とかは吹く。2019/02/14

磁石

24
資本主義の原動力は「恋」。経済再興のためにはライオンを乙女に恋させる必要がある、そして身ぐるみ全部かっぱらわねばならない。……もしかすると『美女と野獣』の物語とは、美しいラブロマンス/究極のあげまんとはコレ、なんかではないのかもしれない。引きこもりでブサイクだが金と権力を持っている野獣から、身ぐるみすべてを引っペがしてイケメン王子にプレゼントする、野獣にとっては最悪なファム・ファタール=美女。美人局に引っかかった哀れな権力者の悲喜劇だったのかもしれない。2017/05/07

磁石

14
負け惜しみは精神の良薬、高嶺すぎる花/ちょっとした侮辱をやり過ごすためには必要な処置。ある年齢を過ぎると本性は全てを嘲笑う、恋愛と結婚は違う/目先の華々しさと大局の利益は一致しないことが多い。危険が迫っている時でも甘美なる歌声は邪魔にならない、たとえ99%無視されたとしてもたった一人にでも心の平安を与えることができるのだから、芸術や文学には意味がある/時には生存の決め手となってくれる。……四方を敵に囲まれながら生き抜いてきたフランスの知恵、中々に奥深い。2017/02/19

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