内容説明
水俣病のために貧しくとも豊かな故郷を離れざるを得なかった人たちが、第二の人生を目指した途端に水俣病を発病する。見知らぬ地で病気と差別に耐えた末に、せめて一矢をと裁判に立ち上がったのが、初の県外訴訟となったチッソ水俣病関西訴訟である。未認定のまま放置された1万人余の患者たちがせめて命あるうちにと、政府解決案による苦渋の和解に応じるなか、わずか58人で裁判を続ける道を選んだ。本書は、チッソ水俣病関西訴訟の患者たちの人生と闘いの記録である。
目次
聞書・水俣病関西訴訟の患者たち
序章 最後の水俣病裁判
第1章 獅子島の稚児
第2章 梅戸の漁師
第3章 水俣から大阪へ
第4章 なにわの水俣病患者たち
第5章 せめて一矢を…
第6章 秋風とともに去りぬ
第7章 肩の荷が半分下りたけど…
解説・水俣病関西訴訟と高裁判決(チッソ水俣病関西訴訟弁護団)
資料(水俣病関西訴訟・大阪高裁判決;水俣病関西訴訟の経過(チッソ水俣病関西訴訟を支える会))
著者等紹介
木野茂[キノシゲル]
1941年大阪府生まれ。大阪市立大学大学院理学研究科修士課程修了。現在、大阪市立大学理学部教員。理学博士。1971年より公害問題の調査と被害者の支援に取り組む。1983年から大阪市大自主講座を主宰
山中由紀[ヤマナカユキ]
1969年大阪府生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科後期博士課程在学中。専攻:環境社会経済学。1990年、大阪市大自主講座に参加し、関西在住の水俣病患者と出会う。他に、香川県豊島の産廃不法投棄事件の調査を続けている
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