内容説明
探偵作家クラブ奨励賞「鉛の小函」初刊行!デビュー作「翡翠荘綺談」から怪奇と合理のハイブリッド「佐門谷」まで日本SF黎明期に活躍した作家の全作品集、待望の第1巻!
著者等紹介
丘美丈二郎[オカミジョウジロウ]
1918(大7)年、大阪府生まれ。本名・兼弘正厚。東京帝国大学工学部卒業。進駐軍勤務を経て自衛隊のパイロットになる。1949(昭24)年に告知された『宝石』100万円懸賞コンクールC級(短編)に投じた「翡翠荘綺談」(49)が3等に入選。続いてB級(中編)に投じた「勝部良平のメモ」(50)が2等に入選。短編・中編のダブル入選を果たしてデビュー。53年には長編SF「鉛の小函」を発表。第7回探偵作家クラブ賞・奨励賞を受賞。61年の「空とぶローラー」以後は創作が途絶えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スターライト
3
この叢書は初めて読むのだが、何気なく手にとってSFについての文章があったので着手。巻頭の「鉛の小函」は、本書に収録された作品の中で最長で中篇の長さ。昔のSFマンガを活字にしたようなストーリーだが、理系出身だけあって機械についての描写がことこまかに書かれている。その他の作品も、一見謎めいた事件を扱いながらも合理的な説明がつく仕掛けになっている。後半に収められた評論・随筆を読めば、氏が科学的合理主義を重んじていた様子がうかがえる。「S・Fと宝石」「S・Fの二つの行き方」には、S派F派に通じるものがある。2013/12/26
Genei-John
1
2013年から読み始めて、2014年最初の読了本。日本の探偵小説の振幅の広さを堪能。初読では「勝部良平のメモ」がよかった。2014/01/01