内容説明
三宝荒神の力を頼み、姿無き神霊・精霊と交感する。時を超え、異界と現を行き来する青年琵琶法師・十六夜清玄の物語。
著者等紹介
加門七海[カモンナナミ]
東京生まれ。美術館の学芸員を経て、1992年『人丸調伏令』で作家デビュー
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感想・レビュー
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真理そら
27
時を超えた妖しく美しい物語。『花守』と『さくら桜』の舞台は現代でつながりのある内容になっている。現代に生きる私たちは神の力を信じる気持ちは薄い。それでも小さな社やお地蔵様を取り壊したりしないで残しておくことの方が多い。清玄という名前は桜と切り離せないイメージがあるが、十六夜という名前の琵琶も主役の一部なので月の描写も美しい。月の物語『玉兎』が一番好きだ。2018/07/05
miroku
20
哀しみと喜びと、希望と諦観と、美と醜と、全て抱きしめて時を巡る。地神盲僧は視えぬ瞳に何を映す。いい話でした。2014/01/19
深青
14
美しさも切なさもあるけど力強さも秘めた連作短編集。あっという間に惹き込まれて、とても面白く読了。風景の描写が本当に美しい。「玉兎」の満月の晩の描写が特に美しく感じられて好きです。2016/09/13
ひろん
13
盲目の僧清玄が琵琶の演奏で大地を鎮める。時代が前後し、神々が現れる不思議な世界。言葉が煌びやかで、華やかなのに物哀しい。この不思議な世界観とても好きです。2013/09/28
こはね
9
何度目かの再読。桜と月が印象的な小説。この季節に読みたくなる。優しくて淋しい気持ちになる。玉兎のところで毎回目が潤む2016/04/04