内容説明
幸せと不幸せを《悪戯》で縫いとじた寺山童話の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
132
ことばをおぼえることはうそをつくことをおぼえること。そんならことばなんていらないわ、アリスは声をことりに差しだしてしまいました。愛を交わせないと後悔してももう遅い。落とした涙は琥珀に変わる。「そんなにかなしむことはない、あんたには薔薇色の微笑みがあるじゃないか」とねこのけむり。るらら、るらら。月はきいろく街を照らして、影は愛をもとめて彷徨い歩く。朝になるともとのからだに戻れると無邪気に信じているのね。どうしていつまでも平穏がそこにあると思うの?赤糸で縫い繋がれた物語、悲劇にするか喜劇にするかはあなた次第。2020/06/17
新地学@児童書病発動中
118
残酷で哀しいメルヘン集。独特の美しさとアイディアの冴えがある。特にアイディアの冴えは素晴らしく、普通の小説に投入されるアイディアの10倍ほどの奇想が詰め込まれている。例えば、思い出の注射とか何でも消せる消しゴムとか。アイディアを弄ぶだけではなく、それが人間の存在の哀しみを浮かび上がらせているところが素晴らしい。そういう意味でこれは哲学的な物語でもある。一番の好みは「かくれんぼの塔」だ。誰もが知っている遊びをテーマにして、ノスタルジーと切なさと恐怖が、絶妙にブレンドされた物語が語られる。2016/11/14
訃報
8
小説は、何でも書けば本当になる。何でも書けるはずなのに、書きたいように書けない。それは言葉が、人間に支配できるものではないからだ。優れた作家は、支配するというより、言葉の力を上手く引き出す、というようなやり方ができるのかなと思う。この本で著者はとても上手くそれをやっている。よくこんな発想が出てくるな、という、跳躍した魅力的な発想。それがきちんと繋がって、優れた寓話にもなる離れ業。個々の跳躍は、あたかも「書けば本当になる」「書きたいように書いている」を軽やかに達成しているかのように見えるけど、著者は細心の注2016/07/13
かおりんご
3
図書館で借りたライブラリアンさん厳選の「メルヘン福袋」の一冊。名前は知っていたけれど、物語を読むのは初めて。ちょっとブラックな内容だと思いました。でも、面白かった。寺山修司作品に興味をもてたので、いいきっかけです。2013/01/28
Doraneko358
2
なんとも不思議な話がいっぱいあってとても前衛的なものをたくさん作っていたんだなと思ったのでしたw2015/09/30