内容説明
“平和主義者”が戦争を起こす。平和を愛した結果が第二次大戦という悲喜劇!
目次
第1章 “平和主義者”が戦争を起こす(みんなが平和を愛した結果が第二次大戦となった;戦争は個人の「心の内なる」問題ではない;台風の上陸を法律で禁じようとする平和主義者 ほか)
第2章 戦争を否定すると近代文明が崩壊する(「戦争」と「けんか」はどこが違うか;戦争がないのが平和、というのは間違い;戦争とは、つける薬がないものにつける薬である ほか)
第3章 国連の幻想と国境の思想(ナンセンスな日本の「国連中心主義」;国連とは、そもそも何だろうか;「自衛」の名目さえつければ、何でも自由な国連憲章 ほか)
著者等紹介
小室直樹[コムロナオキ]
1932年東京生まれ。京都大学理学部数学科卒業。大阪大学大学院経済学研究科、東京大学大学院法学政治学研究科修了(東京大学法学博士)。この間、フルブライト留学生として、ミシガン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学各大学院で研究生活を送る。2010年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めっかち
4
絶対平和主義を標榜するならば、外交はそこそこで全て相手の言い分を飲む必要がある。奇襲攻撃をされたなら、何もせず殺されれば良い。そうすれば、平和が訪れる……。さて、日本の「平和主義者」諸君実践できるか? やるべきか? このあたりの矛盾をえぐり出した名著。
ビリケン
3
日本では過去の戦争の反省から戦争というものを拒絶して遠ざけるだけでなく戦争という言葉するも抹殺しようとしている節がある。しかしながら、この本でも紹介されているように平和主義を自称するなら戦争について徹底的に研究していかに起きるのか作為の契機を知り抜かなければならない。また、今回のコロナ騒動においてもいかなる有事の際にも毅然として法治国家として対応できるだけの平時においての法整備と国民の気構えが必要であると考える。平和とは戦争と戦争の間の準備期間なのであるから。2020/07/22
echo.
3
「戦争」とさえいわなければ戦争は防げる、そんなイリュージョンはおそらく悲惨な戦争を喚びかえす。 本当に戦争という国際問題の最終的手段を回避したいのであれば、真っ正面から学ぶべきである。 橋爪大三郎の「戦争の社会学」につうずる基本的思考。2019/01/24
めっかち
2
戦争は高度に文明的な制度であり、戦争廃絶を願うなら、戦争以上に合理的かつ実行的な国際紛争解決の手段を考案するほかない──これ程の真理を言いうる小室直樹は本当に天才だと思う。受験地獄に見られるように社会現象に念力主義は通用しない。全ての人が戦争廃絶を念願しても戦争がなくなるとは限らないのだ。事実、第一次大戦後の平和主義がヒトラーの揺籃となった。近年、尖閣・台湾有事が論じられている。日本人は「戦争」という不愉快なテーマから目を背けてはならない。「平和」を唱えても、念願しても、平和が守られる訳でないのだから。2022/05/27
なか
2
戦争の悲惨さを伝えることは大切だけど、抑止力にはならない。戦争は国際紛争を解決する最終手段。考えさせられる。2020/12/10